フィンランドでは、両親のどちらが休んでも構わない「親休業」の制度も整っているため、父親の育児休暇の取得率は8割にも上る。また、母親は出産後の3年間、同じ会社の同じポストに戻れることが保障されている。自治体は未就学児に保育園を提供することが義務付けられていて、家族の人数や収入によるが、未就学児は毎月0~280ユーロ(約3万5000円)で保育園を利用することができる(2014年)。もちろん、これらサービスを支えているのは、超高額な税金だ。ヘリーが「専業主婦は怠慢」と思う背景には、両立が十分に可能な制度が整っているほか、働かないと税金の支払いが厳しくなる状況がある。

  「消費税は24%。男女関係なく仕事をしないと、生活は厳しい。確かに働くインセンティブが政府につくられているけど、親であろうが独身であろうが、男女関係なく社会に貢献をして、仕事も家庭も楽しむことが1人の人間としての幸せな生き方だと思う。子どもが生まれたら、どうやって生活設計をするか、とても楽しみ!」

ヘリ―はファッション業界で働きながら、イスラエル・パレスチナ両政府の若手を対象とするリーダーシップ・プログラムを運営している
ヘリ―はファッション業界で働きながら、イスラエル・パレスチナ両政府の若手を対象とするリーダーシップ・プログラムを運営している

なぜ、私には子育てと仕事の両立が大変にうつるのだろうか

 ヘリーにとって楽しみな子育てと仕事の両立が、なぜ私には、今から最も大変そうな悩みなのだろうか。社会保障制度、労働時間、そして価値観があまりにも違う国から、日本は何を学べるのだろうか。

 社会のサポート体制が違うとは言え、ヘリーが両立を語るとき彼女は既に自信に満ちている。日本では「女性が輝ける社会」というフレーズがよく聞かれるが、そのような時代がいつ来るのか、個人としてどうすればそこにたどり着けるかも、正直分からない。あまりにも違う将来の捉え方に、ただただ驚き、多くの働く日本女性が試行錯誤していることに想いをめぐらせた。

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