1月28日にハーバード大学から送られてきたメール。学内にも不安が広がる
1月28日にハーバード大学から送られてきたメール。学内にも不安が広がる

 メールでは、当該7カ国以外の国も規制対象となり得ると指摘していて、大きな不安が広がっている。

 国民からの激しい抗議が影響したのか、それとも政策自体が混乱しているのか原因は定かではないが、トランプ政権は永住権所持者にこの規制は必ずしも該当しないと訂正するなど、先行きが見えない状況だ。

 「ソマリア難民としてアメリカにやってきた女性が、去年議員として当選している。アメリカは移民によって築きあげられた国なのに…このような国単位での差別はひどすぎる」と、同級生は肩を落とした。

 イラン系アメリカ人の友人は、「私はアメリカ人なのに。アメリカで生まれ育って、アメリカ政府のために働きたいと思って、今ハーバードで学んでいるのに。この大統領令の影響で空港で拘束された人たちには、教授や医師など、アメリカに貢献してきている人たちもいる。なぜ、こんな仕打ちに合わなけばいけないのか。私の両親や親戚はどうなってしまうのか…」と、パニック状態だった。

 出身国による差別的な政策は、日本にとっても無縁の話ではない。

 第二次世界大戦の最中の1942年に、当時のルーズベルト大統領の大統領令により、約12万人の日系アメリカ人と日本移民が収容所に送られた。真珠湾攻撃後の日本に対する敵国意識と恐怖により、アメリカ人であり、アメリカに忠誠を誓っている人に対しても強制収容が行われた。強制収容された人々の大半は、アメリカでの新たな生活に真面目に取り組む、普通の人たちだった。その後、1976年にフォード大統領はこのような強制収容は間違いであり、「アメリカの基本理念の後退」であったと公式に発言するなど、歴代大統領は、苦難の歴史として謝罪や賠償を進めてきていた。