あなたは「ほめられること」は好きですか? 挨拶のように気軽にほめ言葉を交わして、ほめて・ほめられる関係性をつくれば、気持ちよく働ける人が増えて、明るい職場になっていくはず。新連載「気持ちよく人を動かす『ほめ方』レッスン」では、ビジネスコーチの谷益美さんが、職場で使える「ほめ方」をレクチャーしていきます。第1回の今回、谷さんは働く人たちの「ほめ」に対して、何か言いたいことがあるようです——。

「ほめスキル」で、より楽しく明るい人間関係を

「ほめ」を受け取ることは、自分をもっとすてきにしていくチャレンジ

 はじめまして。ビジネスコーチの谷益美です。まずは簡単に自己紹介をさせてください。私は建材商社の営業職とIT企業の営業職を経て、ビジネスコーチとして独立。以来12年間、全国のさまざまな企業や大学、行政からお声掛けをいただき、これまで数千人を超えるビジネスパーソンに、仕事で役立つ「コミュニケーションスキル」をお伝えしてきました。

 多くの人と関わっていく中で、最近強く思うことがあります。それは、世の中には「ほめ下手・ほめられ下手」が多いということです。人をほめたり、人からほめられたりすることは、人間関係をよりよいものにしていくコミュニケーションであるはずなのに、このスキルを使いこなせている人が、非常に少ないと感じています。

 これから始まる連載では、ぜひ皆さんに、日常で使える「ほめスキル」を身に付けてほしいと思っています。ほめて・ほめられる関係性をつくれば、職場での人間関係も、より明るく楽しいものになるはずです。そこで今回は、まず「ほめられること」を中心にお話をしていきます。

「かわいい」を否定した過去、私も「ほめられ下手」だった

 人からほめられたときに、皆さんは素直に「ありがとう」と言えますか? 「いやいや私なんて……」と謙遜したり、「そんなことないよ」と否定してしまったり。内心ではうれしいと思っているのに、気持ちとは裏腹な言葉が出てきて、つい受け取り拒否をしてしまう……。こんな経験をしたことがある人は、多いのではないでしょうか。

 かくいう私も、昔は大の「ほめられ下手」。ほめられたことを、素直に受け取ることが苦手でした。

 これは、今から10年ほど前。師匠として尊敬している先輩と、駅の中を話しながら歩いていた時のことです。話題は、今回のテーマにもなっている「ほめられること」について。この時、ほめられることの中でも、自分の見た目や女性らしさをほめられるのが一番苦手だと言う私に対して、師匠が「谷もかわいいじゃないか」というほめ言葉を掛けてくれたのです。

 一回り以上も年下の私は、師匠にとってかわいい存在。だから素直に「ありがとうございます!」と受け取っておけばいいものの、10年前の私にはそれができず、どんな反応をしたと思いますか? 「そんなことないですよ。私なんて……」と謙遜できればまだよかったのですが、

「いやいや、私はモテませんよ。だから『かわいい』には当てはまりません。そもそも『かわいい』には定義がありますよね。その定義に、私はどう当てはまるんですか?」

 と、なかば怒り気味に反論。受け取るどころか、師匠の言葉を全力で否定。しかも「かわいいの定義」などと、非常に面倒臭いことを言ってしまったのです……。

 当時の私は、「自分=かわいい」という方程式を、どうしても認めることができなかった。だから「かわいいの定義」を持ち出して、その定義に自分が当てはまらないことを、何とかして証明したかったんです。

 このエピソードからも分かるように、ほめられた事柄を自分で認められていなければ、ほめ言葉を素直に受け取ることは難しくなります。他にも、「もし相手がお世辞で言っていた場合、『真に受けた』と思われたら恥ずかしい。だから謙遜しておこう」という場合や、「慣れていないから反応の仕方が分からない」というケースもあります。

 しかし、せっかく誰かにほめてもらえたのなら、「ありがとう」と感謝をして受け取ってほしい。私も10年前、「コミュニケーションに関わる仕事をしていくのなら、ほめられたことは素直に受け取るように」と師匠に諭され、以来、今も継続して受け取る努力をしています。

 では、なぜ素直に受け取ったほうがいいのか。その理由については、私の大学時代の先輩のエピソードを交えながらお話しします。