「自己効力感」とは、ある状況下において、「自分は必要な行動を取って、目の前の壁を超えられる」「うまく対処して結果を出せる」という自信や期待のこと。今回は、ビジネスコーチの谷益美さんに、自信がなく自己評価が低い部下に対し、「自己効力感」にアプローチする方法を教えてもらいます。また、前回の記事「折れない心=自己効力感、持ってる? 診断表と高め方」に引き続き、ゲストに脳科学者の枝川義邦先生を迎えて、解説していただきます。

最も影響力が強いのは「成功体験」

「自己効力感」を理解して、部下やチームメンバーに接していきましょう イラスト/北村みなみ

 前回は、「自己効力感」(セルフ・エフィカシー)を高めると、行動力やチャレンジ精神、逆境に強い「折れない心」が育つということをお伝えしました。

 今回は、どのようにすれば部下の自己効力感を高められるのか。引き続き、脳科学者の枝川義邦先生(通称エディ先生)に登場していただきながら、具体的な部下へのアプローチ法についてお伝えしたいと思います。

 それでは早速、自己効力感を高める方法について、エディ先生に解説していただきましょう。

自己効力感を高める4つのアプローチ

◆エディ先生のワンポイント解説◆

 自己効力感は、「成功体験」「代理体験」「社会的説得」「生理的・感情的状態」の4つの源泉から形成されていて、これらにアプローチすることで、高めることができます。

1. 成功体験……「私はこれを成し遂げた」「自分の力で壁を越えた」と実感すると、自己効力感を高めることができます。大きな目標があるときには、小さな目標に分割し、その小さな目標を一つずつ自分の力で達成していくといいですよ。

2. 代理体験……ロールモデルとなる他者を観察することで得られる体験です。身近な人や似た境遇の人が、忍耐強く努力をして成功する場面を見聞きすることで、「自分も同じように成功できる」という信念を獲得できます。ただし、努力をしても報われないケースを見ると、逆に自己効力感は弱まってしまいます。

3. 社会的説得……他者からの肯定的な言葉や励ましにより、「自分にもできそうだ」という認識を持てるようになります。ただし、この社会的説得に応じて努力をしたとしても、必要な能力やスキルが備わっていなければ、結果には結び付きません。そのため、失敗したときには自己効力感が弱まることもあります。

4. 生理的・感情的状態……体調や気分のこと。体調に配慮して心理的なストレスを減らし、できるだけネガティブな感情を持たないようにすると、自己効力感が高まります。

 自己効力感は、「自分が自分のことをどう感じているのか」という主観的認知です。そのため、自分の努力の成果である「成功体験」が、最も自己効力感への影響力が強く、他者からの働きかけによって行動を起こす「社会的説得」の影響力が一番弱いとされています。

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 部下の自己効力感を高めるためには、本人に「成功体験」「代理体験」「社会的説得」の3つを体験してもらうのが効果的。次のページでは、この3つを経験したことで、自己効力感をアップさせた友人の話をご紹介します。