「この上司とは合わないな」「苦手だな……」と思っていると、ついつい距離を置いてしまいがち。しかし、あえて相手を「ほめる」ことで、苦手意識が和らぐこともあるんです。連載6回目の今回は、ビジネスコーチの谷益美さんが、苦手な上司との付き合い方や考え方のコツを伝授。ボスマネジメントとしてだけでなく、同僚や先輩・後輩にも応用可能なので、ぜひ試してみて。

大嫌いになる前に、相手の「いいところ」に目を向けて

ネガティブな面ではなく、あえてポジティブな面を見るクセ付けを イラスト/北村みなみ

 連載5回目の「上司をマネジメント 気持ちよく動かす『ほめ方』とは」では、幸せのハードルを下げ、上司に「ありがとうございます」や「おつかれさまでした」「〇〇さんのおかげで……」という言葉をかけることが、ボスマネジメントの第一歩だとお伝えしました。

 しかし、素直に感謝やねぎらいの言葉をかけたくなる上司ばかりとは限りません。中には「合わないな」「苦手だな」と思う上司もいて、そんな相手には、なかなか「ありがとうございます」とは言いづらいという人も多いと思います。

 確かに、苦手な人に感謝をしたり、ねぎらいの言葉をかけたりすることは、心理的な負担があります。ただ、上司と部下との関係は、嫌だからといって避けられるものではありません。嫌でも苦手でも、仕事のためにはコミュニケーションを取っていかなければいけない関係性です。

 だからこそ、皆さんには「大嫌い」になってしまう前に手を打ってほしい。相手のちょっとした「いいところ」を見つけて、普段から上司をほめるトレーニングをしてみてほしいのです。大嫌いになってしまうと、一緒にいるだけでエネルギーを消耗してしまうので、相手のよい面を見ることが難しくなってしまいます。そのため、大嫌いの手前、「苦手だな……」という程度のところで、相手のポジティブな面に目を向ける習慣を持ってほしいのです。

短所を長所に言い換えて苦手な人をほめよう

 以前、早稲田ビジネススクールの授業で、相手を「ほめるトレーニング」を実施したことがあります。内容は、普段から好感を持っている人と、苦手だと思っている人の二人を選び、それぞれの「いいところ」だけを言葉にして、第三者に紹介するというものでした。

 このトレーニングを実施した受講生からは、「相手のポジティブな面だけに目を向けていると、次第に憎めない人だなと思えるようになり、苦手な人とも仕事がやりやすくなった」という声が上がりました。

 皆さんも、頭の中に職場の関係者を思い浮かべ、好感を持っている人と、苦手な人を選んでみてください。そして、それぞれの「いいところ」を見つけて、実際に紙に書き出してみましょう。

 どうでしょうか? 好感を持っている相手のポジティブな面を見つけることは簡単だったと思いますが、苦手な人の場合は、少し難しく感じたかもしれません。

 苦手な人の「いいところ」を見つけるコツは、短所を長所に言い換えることです。例えば、こんな一面はないでしょうか。

 無口 → 冷静、思慮深い
 頭が固い → 真面目、誠実
 頼りない → 温厚、優しい

 このように、長所と短所は紙一重。ネガティブな印象の言葉を、どれだけポジティブな言葉に変換できるか。自分のボキャブラリーを増やすトレーニングも兼ねて、ぜひ苦手な人の「いいところ」に目を向けるようにしてみてください。そうすれば、苦手な上司であっても「大嫌い」になることは回避でき、良好な関係を築きやすくなると思います。

 そして、苦手な上司のよい面は、職場の同僚などにも伝えてみましょう。人づてに自分のことを部下がほめていたと知れば、上司も悪い気はしないはず。また、クセのある人や、周囲から距離を置かれている上司にもポジティブな対応をしていると、周りからの印象もアップ。理不尽な対応をされて困ったときにも、きっと周りが味方になってくれますよ

 苦手な人ほど、ほめてみる。いつもとは違う角度から相手を見て、あえて「いいところ」に注目するようにしてみてください。