手土産・会食場所のチェックは欠かさない

 プライベートの時間でも、手土産にするお菓子や商品のチェック、会食で利用できる飲食店のリサーチ、その他もろもろのビジネス上の情報収集を欠かさない様子も明らかになりました。「商品のチェックをする」といった回答は18件、「飲食店のチェックをする」は14件、「情報収集をする」は23件ありました。

<お菓子・手土産のチェックを欠かさない>

おいしいお菓子を頂いたり、食べたりすると、手土産の参考になるかもしれないと思い、ついどこの銘柄か確認してしまいます。(30代女性、秘書歴1年、製造、常務取締役・専務取締役・取締役を担当)

菓子店に行くと、よく使う価格帯の商品を必ず確認し、ショップカードをもらいます。また配送についてお店の方に必ず尋ねてしまいます。(30代女性、秘書歴2年、製造、専務取締役・部長クラス・グループを担当)

デパートの期間限定お菓子は必ず視察します。(50代男性、秘書歴3年、商社)

定期的にデパートの地下で、手土産ものを物色します。使えそうだなと思ったものは、少量を買ってみて、味見をします。(40代女性、秘書歴20年以上、製造、副社長・専務取締役を担当)

<飲食店のチェックを欠かさない>

プライベートで食事に行った際、接待や会食に使えるかといった目線で、個室の有無やメニュー、接客などチェックしてしまいます。「使える!」と思ったお店ではショップカードを頂いたり、名刺交換をさせていただいたりするので、同行の友人にはちょっと引かれます。(40代女性、秘書歴3年、情報通信・IT、常務取締役を担当)

プライベートで飲みに行っても、接待で使えるお店かどうか、接客態度や料理をついついチェックしてしまいます。(40代男性、秘書歴15年、卸・小売、社長を担当)

テレビや雑誌、ネットなどでおいしそうなお店を見つけると、海外からの来日VIPのために、必ずメモに取ります。(30代女性、秘書歴5年、製造、社長を担当)

<情報収集を欠かさない>

どんなアイデアがどんな仕事に結び付くか分からないので、常にアンテナを張っています。日経産業新聞や日経ビジネスは必読アイテムです。(40代女性、秘書歴10年、放送・広告・出版・マスコミ、会長・社長・取締役・グループを担当)

新聞は必ず訃報欄から見る癖がついています。(40代女性、秘書歴12年、放送・広告・出版・マスコミ、社長を担当)

交通情報を常に気にしてしまいます。(40代女性、秘書歴10年、社長を担当)

新聞は各社の役員人事欄から確認します。(40代女性、秘書歴10年、情報通信・IT、常務取締役を担当)

新聞を4紙読むことは欠かしません。(40代女性、秘書歴2年、製造、社長を担当)

話題豊富な上司なので、ネットニュースなど最新の情報をいつもチェックしています。(30代女性、秘書歴8年、放送・広告・出版・マスコミ、社長を担当)

台風が来ていると、飛行機が飛ぶかが心配になり、社長が乗る・乗らないにかかわらず、つい調べてしまいます。(30代女性、秘書歴10年、金融・証券・保険、社長・常務取締役を担当)

社長がゴルフ好きなため、ゴルフ番組やスポーツニュースのゴルフを見て翌日話題にしています。私はゴルフはやりませんが、おかげでゴルフに詳しくなりました。(50代女性、秘書歴20年以上、製造、社長を担当)

釣りが好きな上司なので、魚を見て名前が言えるように心掛けています。スーパーで切り身でない魚は、特徴をつかむように見てしまいます。(40代女性、秘書歴12年、サービス、会長・社長・副社長を担当)

社長の趣味がカメラなので、プライベートで外出するとき、桜や紅葉など写真映えしそうなスポットを探すようになりました。(50代女性、秘書歴4年、教育・研究、社長を担当)

まだまだある、秘書職のこんな職業病

 その他、アンケート回答で目立ったのは、「接客や敬語が気になってしまう」「普段の所作や立ち居振る舞いが出てしまう」(いずれも13件)といったマナー面での回答でした。人とコミュニケーションを取る際の行動に少しばかり影響が出ているという意見もありました。

秘書は、上司にまつわるありとあらゆる業務をこなします (C)PIXTA
秘書は、上司にまつわるありとあらゆる業務をこなします (C)PIXTA

<接客や敬語が気になる>

言葉遣いや言い回し、所作のレパートリーを増やしたいので、接客されたときに、勉強するつもりでじっくり見てしまいます。(20代女性、秘書歴2年、建設、社長・副社長を担当)

他人の言葉遣いのちょっとした間違い、特に「よろしかったですか?」が気になってしまいます……。(30代女性、秘書歴2年、サービス、社長を担当)

会社ではすべての接客を任されているので、プライベートで外食をする際、食器からウエイターさんの所作、言葉遣いまでいちいちチェック目線になってしまい、心が休まらない気がします。(30代女性、秘書歴10年、建設、副社長を担当)

社外の来客対応や電話対応についつい注目してしまいます。(30代女性、秘書歴4年、社長・常務取締役・取締役を担当)

デパートや電車内のアナウンス、注意書きなどの日本語の敬語や謙譲語の間違いが気になって仕方がありません。(40代女性、秘書歴14年、製造、社長を担当)

<業務上の所作や立ち居振る舞いが出てしまう>

電話のベルが鳴る前、または、ほぼ同時に、受話器を取ってしまいます。(50代女性、秘書歴20年以上、不動産、社長・取締役を担当)

つい癖で、エレベーターで操作ボタンの前に立とうとしたり、建物のドアの開閉をしようとしたりしてしまいます。(30代女性、秘書歴5年、卸・小売、社長・副社長、取締役を担当)

お見送りの際、見えなくなるまで見送ってしまうことです。秘書職に限らず、営業職の方もそうかもしれませんね。(40代女性、秘書歴15年、商社、取締役を担当)

友達が家に来て、帰りは玄関先で送るだけでは悪い気がして、エレベーターまで送った揚げ句に、お辞儀してしまいます。(40代女性、秘書歴10年、放送・広告・出版・マスコミ、社長を担当)

化粧室の鏡の前で、いつもにっこり笑顔をつくってみせます。そのため、家でも洗面台やお風呂で営業スマイルをつくってしまい、我に返って笑ってしまいます。(40代女性、秘書歴10年、放送・広告・出版・マスコミ、社長を担当)

<コミュニケーション関連>

相手の表情や仕草が気になり、今どのような心境なのかを察してしまいます。(40代男性、秘書歴10年、サービス)

近しい人の行動や思考を2、3歩先読みして準備する癖がついています。(30代女性、秘書歴10年、卸・小売、社長を担当)

男性からの誘いなどにも、角が立たない言い方でやんわりお断りするスキルが身に付いてしまい、無意識にすんなり断っている自分がいます……。(30代女性、秘書歴10年、政府・地方公共団体・各種法人・団体、常務取締役・本部長クラスを担当)

<その他>

上司が忙しくいつも早口なので、自分が話すスピードもどんどん速くなり、家族や友人から聞き取れないと言われるようになりました。(20代女性、秘書歴4年、コンサルタント・会計・法律関係、弁護士を担当)

上司のコーヒーの好みがかなり薄めのアメリカンで、おいしく入れることを追求しているうちに、自分も薄々のアメリカンしか飲めなくなってしまいました。(30代女性、秘書歴10年、建設、副社長を担当)

つい刊行物の誤字誤脱を見つけてしまいます……。(30代女性、秘書歴8年、コンサルタント・会計・法律関係、弁護士を担当)

夫の携帯番号ですら記憶できていないのに、ボスの番号は暗記してしまっています。(30代女性、秘書歴5年、製造)

イベントに参加すると、マイク運びや音響など、ステージ上の運営面が気になってしまいます。また、ドラマや映画に「役員・秘書」が出てくると、細部の動きまで見入ってしまいます。(30代女性、秘書歴10年、製造、執行部を担当)

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 ここまで3回にわたり、アンケートで集まった秘書さんの生の声をご紹介しました。秘書職に憧れている人、同業の人、ここまでのアンケート結果をどうご覧いただけたでしょうか。

 上司にまつわるあらゆる業務を請け負う秘書職の皆さんの苦労は計り知れません。しかし、前回記事・だから秘書はやめられない―得した話&感動エピソード では、秘書冥利に尽きるイイ話もたくさん飛び出しました。苦労があっても誇りを持って働き続けられる職種、それが秘書職なのかもしれません。

文/日経ウーマンオンライン編集部 イラスト/PIXTA

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