仕事上での会食や宴会の場所選び、皆さんはどうしているだろうか。幹事を任されるたびに、どんな飲食店を選ぼうか、場所選びに迷う人もいるのでは。今回は、ビジネスシーンに最適な接待・会食のための店や手土産選びのサポートをしてくれる「こちら秘書室」の担当室長・渡邉華織さんにはずさない会食の店の選び方について指南していただく。

 前回記事・相手が絶対喜ぶビジネス手土産選び 必勝ルール

「こんなはずではなかった」を防ぐ下見

 企業の秘書が上司の会食の場所を選ぶには、配慮すべきポイントがたくさんある。特に、大企業の社長の会食場所をアレンジする際には、特別の配慮が必要になると渡邉さんは解説する。

ぐるなび運営サイト「こちら秘書室」担当室長を務める渡邉華織さん。大手金融会社や流通会社の社長秘書、外資系コンサルタント会社の会長秘書を歴任し、現在は、「こちら秘書室」登録の秘書3万5000人の「まとめ役」だ
ぐるなび運営サイト「こちら秘書室」担当室長を務める渡邉華織さん。大手金融会社や流通会社の社長秘書、外資系コンサルタント会社の会長秘書を歴任し、現在は、「こちら秘書室」登録の秘書3万5000人の「まとめ役」だ

 最重要ポイントは、誰と会っていたのかが外部に漏れないよう、他人の目に触れず出入りできる店かの確認。店側が「個室です」と言っていても、壁の上部が開いていて話が隣に漏れてしまう造りであったり、壁がガラスの仕切りであったりすることがあるので、事前の現場チェックが欠かせない。

 「化粧室に行くにもなるべく人に会わない動線が必要です。部屋から出た際『他のお客様がいらっしゃるので少しお待ちください』などと声を掛けて誘導してくださるようなお店ですと安心。秘書はお店まで同伴する機会が少ないので、会食に慣れていて信頼できるお店であるかどうかが大切になってきます」(渡邉さん)

 一般的な会食でそこまでの配慮を求められることは少ないが、やはり店の下見はできるだけしたい。飲食店サイトのページに掲載された写真だけでは、実際の店内の様子がよく分からない場合もある。

 会食をするメンバーに靴を脱ぎたくない人がいる、座敷が苦手な人がいるなど、テーブル席か掘りごたつ席かが重要な場合は、下見はしておくほうがよい。店側の情報はあてにならないこともあり、例えば店側が「掘りごたつ席の部屋です」と言っていても、ふすまを開けて二つの部屋をつなげて大部屋にするケースは、つながった掘りごたつ席になっていないことがあるからだ。

 また、店側はなるべく多くの人数を入れたがるので、6人入れると言われた個室を実際に見に行くと、ゆったり座るにはせいぜい4人分の広さだったというケースもある。「部屋が狭いと、お手洗いなど中座するときに扉の前の席の人も立つなどして会話が途切れがちになり、その場の雰囲気に影響します」と渡邉さんは注意を促す。

 その他にも実際に店に行くと、年配者が足を滑らせやすいような場所があるなど、写真では分からない問題点を発見することが少なくないと言う。