「塩辛い」「味が濃い」などのつまみは、お酒を進める原因に

 つまみに関しては、「蒸す」「煮る」「焼く」「水煮」といった油を使わない調理法の料理が望ましいといえます。例えば、枝豆、トマト、ワカメときゅうりの酢の物など、低カロリーの野菜や海草類、さらに湯豆腐、イカソーメンといった脂質が少なく、良質なたんぱく質を多く含むメニューがお勧めです。

 反対に、お好み焼き、ピザ、餃子、ポテトサラダ、鶏のから揚げといった脂質と糖質を多く含む「ハイカロリー」のつまみは、中性脂肪を増やし、体重増加にもつながりやすいので注意しましょう。飲み会にありがちなコース料理の多くは、「塩辛く」「味が濃い」ものが多いために、酒も箸も進みがちで、つい食べ過ぎ、飲み過ぎてしまうわけです。

 こうした「負のサイクル」を避けるためには、「2~3日を1つの単位と考え、そのなかで食事のリズムとサイクルを整えるように意識するといい」と林さんは言います。

 この2~3日のサイクルをベースにした調整法は、忙しく働く女性にとっても、比較的取り組みやすいもの。「まずは、自分の体重に一定の『基準』を設け、『毎朝、体重計に乗る習慣を身につける』ことです。毎朝の計測で設定範囲を超えたら、2~3日間は脂質、糖質は極力控え、野菜と植物性たんぱく質を中心とした食事を心掛ける。太らずにお酒を飲み続けるためには、『脂肪の貯金』を貯めない習慣を身につけることが欠かせないのです」(林さん)。

 「1kgぐらいの増加なら、まあいいか」と自分を甘やかしていると、それはやがて脂肪という名の負の貯金となります。もしカラダのなかで消費されない9キロカロリーの余剰エネルギーがあったとすれば、それは生理学的に1gの脂肪に変換されることを意味します。こうした「些細なこと」が日々続けば、大きな蓄積となり、確実に体重は増加するのです。

 生涯に渡ってお酒を楽しみ続けるためにも、「日々の地道な努力」を欠かせないようにしましょう。


「酒好き医師が教える最高の飲み方」

著者:葉石かおり、監修:浅部伸一
出版:日経BP社
価格:1512円(税込)

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プロフィール
葉石かおり
葉石かおり
エッセイスト・酒ジャーナリスト1966年東京都練馬区生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て現職に至る。全国の日本酒蔵、本格焼酎・泡盛蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外にて世界に通用する酒のプロ、サケ・エキスパートの育成に励み、各地で日本酒イベントをプロデュースする。

日経Gooday「『お酒で太る』はホント? ウソ?」をもとに作成