女性の経験と熱意が生み出す成果に注目を

 一方でこうした問題は、ある地方自治体だけの状況ではなく、多くの働く女性の職場で身近で再現されていることだろう。

 世界経済フォーラムが毎年発表している世界各国の男女平等の度合いを指数化したランキングでは、2016年の日本の順位は144カ国中111位だった。これは過去最低のレベルで、日本の女性の活躍は、世界に大きく後れを取っている。

 ただこの数年で、政治への積極的な女性の参加を促すとして、議員の候補者・議席など一定の比率を女性に割り当てる「クオータ制」などにも、日本の国会議員の間でようやく注目が集まりだした。クオータは「割り当て」を意味する英語の「quota」だ。多様性のある視点で政策を議論できるこの制度は、多くの国で採用されているが、日本ではなかなか導入が進まない。

 忙しい日々で思考停止になりがちな地方自治や国政のテーマでも、不満がある政治の流れを変えるには「私たちは多様性のある政治のメリットを理解している」「地方自治の女性リーダーの取り組みは興味深い」などと、自分たちの声を上げることも重要だ。

「日本一前向きな市役所を目指しますよ!」明るく談笑する東氏とエン・ジャパン社長の鈴木孝二氏
「日本一前向きな市役所を目指しますよ!」明るく談笑する東氏とエン・ジャパン社長の鈴木孝二氏

 今後、四條畷市副市長はリーダーとしてプロジェクトを進めることになる。「何か問題があれば、市長である私が矢面に立ち、責任も取ります」と東氏。熱意のある若い市長と経験と知恵を持つ副市長が誕生するはずだ。

 ところで四條畷市の女性職員の育児休業取得率は100%だが、男性はようやく1人が取得したばかり。「日本一前向きな市役所」をうたう同市には、職場の多様性の伸びしろも大きい。最強のタッグが、行政のあり方や地方自治をスピーディーに変革していく過程に期待したい。

文/三宮千賀子 写真/エン・ジャパン

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