突然大金を手に入れると、人は不幸になる!?

――ドラマでは、メインキャラクターの一人、Kis-My-Ft2の横尾渉さん演じる戸塚賢太が仮想通貨の高騰により突然大金を手にしていました。書籍にある通り、現実世界で突然大金を手にした人は「ろくなことにならない」のでしょうか?

鈴木:宝くじの高額当選者を知っているマネーの専門家にこっそり取材をしたところ、まずは家族や親族間でトラブルが起きるとのことでした。それがエスカレートして一家離散の危機に陥ったり、当選金額以上の資金を浪費したり、生きる目的を見失ったり。仮想通貨であれ宝くじであれ、慣れない大金が転がり込んでくると人は苦労するようですね。

黒川:じゃあ、もうかっても誰にも言わないという作戦はどうでしょう? ドラマでは戸塚くんが大もうけしたことを周囲に話していましたが、何も言わなかったら末路は変わっていたのかも。

鈴木:取材中、僕も同じことを考えていました。でも人間の浪費は一回始まるとなかなか止まらないそうですよ。それで周囲からすぐに「何かあったな」と勘繰られると聞きました。

黒川:ということは、やはり突然大金が手に入るような賭け事には手を出さないほうがいいということでしょうか?

鈴木:仮想通貨はさておき、宝くじはそもそも当たる確率が低いですからね。調べてみたところ、宝くじ売り場に行くまでに3回交通事故に遭えば当たるくらいの確率だそうですよ。

黒川:3回!?

鈴木:それくらい確率が低いなら、変に期待したり、心配したりしないほうが気楽に過ごせるかもしれません。

黒川:そうですね。一度仕事で競馬場に行きましたが、負けた人たちが馬に向かって「ふざけるな!」と口々に叫んでいました。賭けたお金が戻らないのは悔しいことですが、必死で駆け抜けた馬を責めるのではなく、いたわる側にまわれたらすてきですよね。私は実家で何匹も動物を飼っているので、つい動物側の視点になってしまいました。

巨大化した「ミドリガメ」の悲しい末路

――動物といえば、鈴木さんは以前「ミドリガメの末路」というテーマで記事を書かれていましたね。黒川さんの実家にはさまざまな動物がいると聞きましたが、カメを飼ったことはありますか?

黒川:まさに今、実家で飼っています! 手のひらサイズの姿がかわいくて、お祭りの屋台で買ってもらったんです。でもそれから10年以上たち、水槽で飼うのが難しいくらい巨大化してしまいました。

鈴木:それはおそらく、私が取材をしたのと同じミドリガメですね。動物の専門家によると、大きいもので30センチにもなるそうですよ。

黒川:私はなんとか飼い続けているんですが、実は以前に一度ミドリガメが自ら脱走してしまったんです。でも1年後、近所の人が見つけてくれました。車の下にいたそうで、「これ、黒川さんちのカメでしょ?」って持ってきてくださったんです! 想像をはるかに上回る生命力で驚きました。

鈴木:やはりミドリガメはたくましいですね。黒川さんのようにカメと共に過ごすことで驚きや喜びを得る人もいますが、一方で、飼いきれなくなった人や一部の屋台の店主が近所の川に放流し、イシガメなど日本原産のカメを追いやっているという事実もあります。

黒川:ミドリガメは食欲旺盛ですし、放流すると生態系に影響を与えそうですね。

鈴木:専門家によると、もし「特定外来生物」に指定されれば、冷凍による安楽死か、解剖用の教材や堆肥として利用される可能性があるそうです。幸せにできない末路が待っているのなら、ペットの代わりにルンバなどのロボットをかわいがるのも一つの手段だと思いますよ。