「何のために働いているのかわからない」。そんな悩みを抱えているこじらせOLが、ふとしたきっかけから自分の「夢」に気づき、自分の生き方を大きく変えた――。そんなストーリーの小説『言い訳ばかりの私を変えた夢みたいな夢の話』を、本連載「才能がない人の夢のかなえ方」としてお送りしていきます。前回、誰にも言えなかった趣味「2.5次元ミュージカル」について記事を書いたヤグチでしたが…。

著者からのメッセージ:本連載の前書き「副業が会社バレ ピンチ、異動、そして夢が近づいた話」
第一回:お給料のためだけに働くOL、夢について考える
第二回:夢ナシ契約社員 異動先で「あなたの夢は?」と聞かれて
第三回:好きを仕事に…人に言えない趣味も仕事にできるのか?
第四回:恥ずかしい趣味を仕事に生かしてみた 上司の反応は?

【第五回】仕事は夢を実現するためにある?

 「最終的に20万ページビューを超えたよ。インターネットの検索結果からもたくさんの人がきている。ニーズがあるから、こういった記事をどんどん書いてみよう」
 「いいんですか?」
 「ネットでは、個人の思い入れが強い記事が拡散していくんだ。自分が特に好きでもないものを中途半端に書いたって、読者に見透かされちゃうんだよね」
 「じゃあ、もっとネタを探してみます」
 「あ、資料として雑誌を定期購読してみる? 『声優グランプリ』とかかな? 会社のお金で買えるように申請してみるよ」

 『声優グランプリ』を購読してもらえる? 私は甘やかされているのだろうか。
 会社を辞めそうだったから、引き止めのために、やりたいことをやらせてもらっているのだろうか?
 いや、そんな、特にとりえもない私を引き止めて何になるだろう。
 上司の言動は、今ひとつわからないことが多い。

 「確かに、自分が好きなものについて記事を書くのは楽しいんですけど、これと自分の夢と、どんな関係があるんですか?」
 「僕は、仕事っていうのは、本来、夢を実現するためにあると思うんだよね」
 「え、でも、そんなふうに思ってる人って、圧倒的に少ないですよね」
 「そうかなぁ。人がどう思ってるかはわからないけど、1日のうち10時間くらい仕事するとしたら、それって人生の40%でしょう? 夢のために仕事をするんじゃないと、意味がないって思うんだ」

 どうしても納得できなかった。