「何のために働いているのかわからない。いっそ会社をやめようかな」。そんな悩みを抱えているこじらせOLが、ふとしたきっかけから自分の「夢」に気づき、自分の生き方を大きく変えた――。そんなストーリーの小説『言い訳ばかりの私を変えた夢みたいな夢の話』を、本連載「才能がない人の夢のかなえ方」としてお送りしていきます。第二話の今回は、主人公・ヤグチは夢について考えはじめますが……。

著者からのメッセージ:本連載の前書き「副業が会社バレ ピンチ、異動、そして夢が近づいた話」
第一回:「お給料のためだけに働くOL、夢について考える」

【第二回】夢を見つける…?

 私は新しい部署でいったいどんな仕事をすればいいのだろうか。
 異動初日なんだから、まずそういう話をするのが普通だと思う。
 それなのに、上司は、いたってまじめな顔で「夢について考えよう」と言った。
 「夢」だなんて、まるで宗教とか、安っぽい自己啓発の本の話みたいだ。
 確か中学の卒業文集には、自分の夢について書いた気がする。でも、それ以来、夢には縁がない。そんなものについて話をするのも恥ずかしいと思っていた。
 それにしても、おかしい。考えれば考えるほど変な上司だ。
 服装は、Yシャツにスーツのジャケットにノーネクタイ。そしてメガネ。

 インターネットの会社ならどこにでもいそうなサラリーマンに見えるのに、なんだか場違いな、地に足がついていないような話をしている。
 私が戸惑っていると、上司は、そんなに高くないテンションで、もう一度、
 「夢はなんですか?」
 と質問してきた。