「何のために働いているのかわからない」。そんなこじらせOLが主人公の小説『言い訳ばかりの私を変えた夢みたいな夢の話』を、本連載「才能がない人の夢のかなえ方」としてお送りしていきます。前回、自分の書いた記事が炎上し、クレームが入ったヤグチ。サポートセンターに呼び出され、説得をしても全く納得されず、サイト閉鎖の危機を迎えていますが……乗り越えることはできるのでしょうか?
前回までのお話→ 前書き、第一回、第二回、第三回、第四回、第五回、第六回、第七回、第八回、第九回、第十回、第十一回、第十二回、第十三回、第十四回、十五回:会社に貢献→評価につながらない 実績アピールするには
【第十六回】サイトが潰れるかも…そのとき届いた、1通のメール
私はスマホを取り出すと、先ほど届いたメールを見せた。
「部長。実はこれ、さっき社内の人から送られてきたメールなんですけど……」
初めまして。新規事業戦略部のスズキです。ヤグチさんの先月の勉強会、感動しました。
実は今、ファン同士が演劇のチケットを交換するサービスを検討しているんですが、ひょっとしたら2.5次元ミュージカルに特化したらうまくいくのではとひらめきました。よかったら今度、話を聞かせてください。
私が声に出してメールを読むと、すかさず味方である私の上司が発言した。
「チケット交換サービスって、演劇やスポーツの分野では以前からあるんですよ。余ったチケットとか、急に行けなくなったチケットを、ほかのファンの人にゆずるためのものです。でも、2.5次元ミュージカルはまだ新しい分野だから、そういったサービスがまだない。うちのサイトは、ヤグチさんの記事のおかげでファンが集まってコミュニティのような感じになっているから、事業としてかなり可能性がありますね」
これにはさすがのカスタマーサポート部の部長も納得せざるを得なかったようだ。
「新規事業戦略部ですか……」