新たなプレッシャー

 「社長直属の部署ですね。ミュージカルコンテンツに今後そういった利益を生む可能性があるなら、閉じるのは時期尚早と言えるかもしれませんね。クレームは、我々が責任を持って対応しましょう」

 こうして私は無罪放免になった。
 というより、その“新規事業”にも関わることになった。
 2.5次元ミュージカル・ファンのためのサイトを作るのだ。

 これまでのような濃いコンテンツを、もっと増やさなければ。

* * * *

 「おめでとうございます。お祝いにこれをあげます」
 そう言って上司がくれたのは、あの変なスタンプの人形だった。

 「スタンプの人形を作ったんですか?」
 「グッズ化第1弾ですよ。全国のUFOキャッチャーに、今日からこれが入ってます」
 「すごい……」
 変な絵のキャラクターを、無理やりぬいぐるみにしたような感じ。
 裁縫が下手な人が、がんばって作ったかのような、微妙な味わいだ。
 「今、ツイッターで感想を調べてみたんですけど、みんな“キモいのとれた!”って書き込んでるんですよ……」

 上司はちょっと悲しそうな顔をした。
 そりゃそうだろう。キモいよ、これ。
 「第1弾っていうことは、ほかにも企画があるんですか?」
 「第14弾まで決まっています。次はこれですね」