「何のために働いているのかわからない」。そんなこじらせOLが主人公の小説『言い訳ばかりの私を変えた夢みたいな夢の話』を、本連載「才能がない人の夢のかなえ方」としてお送りしていきます。前回、会社で自分の居場所を守るべく、上司の経験談を聞き始めたヤグチでしたが……。
前回までのお話→ 前書き、第一回、第二回、第三回、第四回、第五回、第六回、第七回、第八回、第九回、第十回、第十一回、第十二回、第十三回:社内に味方を作る方法 自分の仕事で○○な人を増やす
【第十四回】みんなの声を集めるには
「定時で帰るコツは、定時で帰るキャラだと職場で認識されるようになることです」
上司はいたって真面目な顔で言うが、本人は今、もっと遅くまで仕事をしている。
「僕は同期の中でも変わったヤツだと思われていたみたいです。入社して初めての週末に開かれた同期の飲み会にも、ひとりだけ行けませんでしたから。その日はちょうど、講演を依頼されていたんです……」
「でも、仕事で困ったときに、同期に助けてもらったりすることもあるんじゃないんですか? 社内でのつながりは大切だと言う人も多いですよね」
「仕事で困ったときと言えば、僕は事務処理が苦手なので、今でも後輩に“決裁”の作業を代わりにやってもらったりしています。お礼には焼肉をおごったり」
そんな作業で焼肉をおごってもらえるなんてうらやましい。苦手を克服しようという意識はないのだろうか。
「そんな感じでダメ社員っぽくすごしてたんですけど、あるとき、僕が書いた本がテレビで紹介されたのがきっかけで、ネットで活動していることがバレてしまったんです」