上司がよく使う、意外な言葉

 そういえば、うちの会社のサイトには、上司がイラストを描いた記事がけっこうあり、しかもページビューを稼いでいる。
 上司は会社でも自宅でも自分の好きな絵を書き、それによって会社にも自分にも、プラスになるような成果を上げているのだ。

 「テレビみましたよ。すごいですね」
 さっそく上司にLINEしてみた。すると、ニュッと変なスタンプが送られてきた。

 「新作なんです。よかったら使ってみてください」
 「チーフのインタビューが10分ぐらい放送されましたよ。どうやったらあんなふうに取り上げられるんですか?」
 「基本的に運がいいんですよ。あとはコツコツ努力することですかね……」

 努力かぁ。
 上司はよく、「努力」という言葉を使う。
 「僕は目立った才能がないので、すごい人と勝負するには、努力で補うしかないんです」
 企画を考えたり、イラストを描いたり、ひらめきが重要だと思えるようなクリエイティブな仕事をする際にこそ、努力で質を上げる。

 この考え方は、とても参考になる。私だって、文章が特に上手いわけではない。単なるオタクだ。でも、オタクなりに、みんなが求めているものが何か、必死に考える。そして、どうしたら面白いと思ってもらえるか、新しい切り口にできないか、できるだけ工夫する。
 この繰り返しなのだ。繰り返すことで、実績を少しずつ積み上げていくしかない。

 翌日の月曜日の朝のオフィスは、いつもとまったく変わらない雰囲気だった。
 といっても私は昨日も家で記事を書いていたので、「今週も仕事が始まるのか」という気分でもなかったのだが。

 PCを立ち上げると、奇妙なメールが2通届いていた。