ヒラリー・クリントン氏がアメリカ大統領選挙で敗れました。投票から一夜明け、クリントン氏は敗北宣言のスピーチを行いました。そのスピーチには、女性初のアメリカ大統領になれなかったことについて悔やむ気持ちだけでなく、これから、どんなことに私たちが目を向けるべきなのかというメッセージが込められています。改めて、クリントン氏のスピーチの全文翻訳をお届けします。

みなさんの支持を得られたことは最高の名誉

「みなさんはこのすばらしいアメリカを代表する人たち」 (C) PIXTA
「みなさんはこのすばらしいアメリカを代表する人たち」 (C) PIXTA

 昨夜、私はドナルド・トランプ氏に祝意を伝え、私たちのこの国ために協力すると申し出ました。彼がすべてのアメリカ人にとって、この上ない大統領になってくれることを願っています。

 今回の選挙の結果は、私たちが望んだものでもなければ、心血そそいで闘い勝ちとりたかったものでもありませんでした。私たちが共有する価値観やこの国の未来像をもってしても、今回の選挙を勝てなかったことは残念でならず申し訳なく思います。

 それでも、共に築きあげたすばらしい選挙戦を……大規模で、多様性に富み、創造的で、波乱に満ち、力がみなぎるこの選挙戦を誇りに思い、感謝の念でいっぱいです。みなさんはこのすばらしいアメリカを代表する人たちであり、みなさんの支持を得られたことは、私の人生における最高の名誉です。

 みなさんが、どれほど失望しているか私にも分かります。なぜなら思いは同じだからです。そして、今回の選挙戦に夢や希望を託して望んだ何千万人ものアメリカ国民も同様だと思います。この“痛み”は、長く続くことでしょう。でも、決して忘れないでください。この選挙戦は、誰か一人のためでも、この1回の選挙のためだけでもありません。私たちが愛する祖国のためであり、希望に満ち、包容力にあふれ、寛大な心を持つアメリカを創りあげるためのものだった、ということを。

 私たちは、考えていたよりも、ずっと深く分断されているこの国の姿を目の当たりにしてきました。それでもなお私はアメリカを信じ、これからもその気持ちは変わりません。みなさんも同じように信じていてくれるなら、この結果を受け入れ、未来へと目を向けましょう。