こんにちは。著述・翻訳家の上野陽子です。いつも、生き生きとして見える女性は、職場でもやがてプロジェクトで抜擢されたり、周りに人が集まってきたりするもの。誰だってやる気がないときはあるはずなのに、なぜあの人は、いつもやる気に満ちているように見えるのでしょう……。イリノイ大学のデータが、やる気の「ひと言」を解き明かしてくれました。

心に効く、ある「ひと言」

 やる気が出ないとき、あなたはどう対処していますか。気晴らしをする時間があれば、お茶を飲むだけでもほっとリフレッシュもの。でも、それでもどうにもやる気が起きない経験をした人もいることでしょう。大人の女性としては、気持ちの中で処理しなければ……。

 そんなときに「頑張れ自分!」よりも、ほんのひとひねり。あるひと言が効くんです。

 イリノイ大学の研究者サンダ・ドルコス氏とドロレス・アルバラシン氏は、143名の心理学専攻の学生を対象に、文字を並べ替える“アナグラム・パズル”を解かせる実験をしました。パズルを解くにあたって、「自分に対するアドバイスを“書き出す”ように」と依頼しています。たとえば、「頑張れ」や「できるよ」といったこと。

 そのとき学生を2グループに分けて、こんな指示を出しました。

(1)「私」「自分」のように1人称を主語にした呼びかけで、自分に対するアドバイスを始める。

(2)「あなた」「キミ」という2人称を主語にした呼びかけで、自分に対するアドバイスを始める。

 さて、(1)と(2)、どちらの呼びかけの方が、やる気を起こせたでしょう。

 実は、「あなたならできる!」「キミなら大丈夫!」と、まるで外から呼びかけるようにした人のほうが解いた問題数が多く、パズルに関してより前向きな姿勢を示しています。さらに、135名の学生に2週間、運動量を増やす実験をしました。ここでも同様に、「あなた」と声をかける人のほうが、運動計画を立てるほど前向きになっています。

 ポイントは主体が「自分」なのか、自分を客観的に見た「あなた」なのか。これで脳の働きやモチベーションが大きく違うのだそうです。では、なぜ「あなた」のほうがいいのでしょうか。