ポイントは「業務遂行性」と「業務起因性」

 労災と認定されるには、その災害が「業務災害」に該当する必要があります。

 業務災害とは、勤務中などに労働者がケガをしたり、病気になったり、障害を負ったり死亡したりすることを指します。ここでポイントになるのが「業務遂行性」と「業務起因性」です。

 業務遂行性とは、災害が起きたとき、労働者が事業主の支配または管理下にあったかどうかを意味します。今回の相談者は出張中にケガをしたとのことですが、出張中は宿泊先での滞在時間も含めて、事業主の管理下にあると見なされます。

 業務起因性は、災害が起きたとき、労働者が業務に関連する行為の最中だったかどうかを意味します。出張の場合は、新幹線や飛行機などを使った移動、滞在中の飲食、宿泊、出張中に必要な物品の購入などは出張に付随する行為と見なされます。

 これらの行為の途中で災害が起これば、労災に認定されることが多いです。一方、出張の途中で時間が空いたので映画を見た、遊園地に行ったなどの「積極的な私的行為」による災害は、労災にはなりませんよ。

 今回の相談者の捻挫が労災に当たるどうかですが、ポイントは「誰と、どんな場所で、どの程度お酒を飲んだか」です。