ノークレーム・ノーリターンが無効になる場合とは

 例えば(1)売り主が企業で、買い主が一般消費者の場合(2)売り主が一般消費者であっても、商品の破損などを知っていながら十分に説明をしていなかった場合には、ノークレーム・ノーリターンの取り決めは無効です。

 なお、人気のフリマアプリ「メルカリ」では、「ノークレーム、ノーリターン、ノーキャンセル」といった言葉を商品説明欄などに記載するのは禁止されています。自分が商品を売るときのためにも知っておきましょう。

 届いた商品に明らかな欠陥がある場合は、まず売り主に直接連絡を取り、その後の対応について相談しましょう。基本的には当事者同士で解決することが前提ですが、売り主と連絡が取れないときなどは、中古品をやり取りしたサイトやアプリの事業者に報告を。事業者によっては、被害に遭った消費者への補償制度を設けていることがあります。

 それでも埒(らち)が明かないときは、弁護士を通じて「返品するので代金を返してほしい」旨を告げる、内容証明を送る方法もあります。ただし、商品の額より弁護士費用のほうが高くついてしまうケースが多いのが現状です。

 トラブルを事前に防ぐためにはまず、不明な点や疑問点は購入前に問い合わせることが大切です。また、中古品にはある程度の劣化は付きもの。リスクがあることを十分に理解した上で購入しましょう。

Q. オークションで買った商品が壊れてた!

A. できる可能性あり

この人に聞きました
茨木拓矢
茨木拓矢さん
ピクト法律事務所 弁護士
2015年にピクト法律事務所を設立。「企業の事業判断に貢献する」をモットーに、現在はIT事業や美容事業に特化したサービスで、多数の顧問先企業の経営判断をサポートしている。

取材・文/瀬戸久美子 漫画/ハラユキ 写真/PIXTA

日経ウーマン2018年1月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります