法的手段を講じるには

 法的手段を講じるには、具体的にどんな方法があるのでしょうか。今回のケースなら、簡易裁判所で民事調停をするのがひとつです。裁判官と、一般市民から選ばれた調停委員が双方の話を聞き、和解を促します。

 民事調停の申し立てをするには、裁判所のホームページにある「貸金調停」の申立書に必要事項を記入して、相手の居住地を管轄する簡易裁判所に提出します。20万円の返済請求の場合、調停にかかる手数料は1000円*です。

*ほか、裁判の書類の送達にかかる切手代を納める必要がある

 話し合いでは解決が難しそうなら民事訴訟を起こし、判決を出すこともできます。ただし裁判に勝っても、相手が確実にお金を返してくれるとはいい切れません。相手から強制的にお金を徴収するには、強制執行の手続きを取る必要があります。友達が相手の場合、ここまでこじれることは少ないですが。

 「権利の上に眠るものは保護に値せず」という格言があります。お金の貸し借りの時効は10年。相手が友達でも遠慮せず、お金を返してもらう権利はしっかり主張しましょう。

Q. 友達に貸したお金が返ってこない!

A. 第三者を交えながら、返済計画の相談をする

この人に聞きました
木山泰嗣
木山泰嗣さん
青山学院大学法学部教授
弁護士。上智大学法学部法律学科を卒業後、2001年に旧司法試験に合格し、03年に弁護士登録(第二東京弁護士会)。15年4月から現職。『教養としての「税法」入門』(日本実業出版社)をはじめ40冊以上の著書がある。

取材・文/瀬戸久美子 漫画/ハラユキ 写真/PIXTA

日経ウーマン2017年12月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります