先物買いできないなら、年上を狙え!

――それこそ「たられば」ですけど、倫子が23歳のときに、ダサADの早坂さんと付き合ってみればよかったんでしょうか。

 いやー、無理です無理です。仮に今の状態から10年前に戻れたとしても、理屈はわかるけど感情がついてこないでしょうね。

 彼女は先物買いをしないんですよ。既にできあがったものを求めている。10年かけて相手を育てる覚悟がありますか? となると、倫子は「なんで私がそんなことしなきゃいけないの」って感じでしょうね。

――ああ、やっぱり結婚できない方向に…。

 可能性としてあり得たのは、倫子が23歳のときに、30代の早坂さんみたいな年上の男性が近くにいたら、その人と結婚できたかもしれない。ワイン選びがこなれた、仕事もできて話も面白い年上の男性がいたら、ときめいたまま結婚までいけた可能性はありますね。男性から見ても、10歳年下の倫子なら「頑張ってて可愛いな」くらいの余裕を持って見れますから。

倫子が結婚できない環境的な理由

――そんな倫子も33歳。20代はあっという間に終わってしまったんでしょうね。

 仕方ないとは思いますよ。新卒でテレビ業界に就職して、いきなり華やかな大人を見る機会を与えられて。彼女は早い段階で「見る目肥え度」がぐんと上がってしまったんです。

――性格どうこうを抜きに、そもそも結婚しづらい環境にいるということですか?

 そうです。環境要因がものすごく大きいと思います。外資系や、大手の総合商社なども同じ構造ですね。華やかで仕事のできる男性が多い職場にいると、どうしても「見る目肥え度」が一気に上がってしまう。一度上がった「見る目肥え度」は下がりませんから、そのうち「チヤホヤされ度」とのギャップが生まれる。そのタイムリミットをきちんと見据えていないと、あっという間に20代は終わってしまいます。

――まさに、倫子たち「タラレバ娘」の状況…。

 やっかいなのは、いずれの職場でも魅力的な男性はとっくに既婚者だということ。そこが彼女たちの難しいところです。20代前半のころは、同世代はお子ちゃまに見えるし、30代はオトナだけど結婚してる。ここでチヤホヤされるがままに年上の既婚者と食事に行ったりしていると、楽しい思いはできるけれど、結婚はできません。

――倫子がこれからできることって、何があるんでしょう?