2017年といえば、インターネットテレビ局「Abema(アベマ)TV」で行われた、稲垣吾郎さん、香取慎吾さん、草なぎ剛さんの元SMAP3人による72時間の生放送の「72時間ホンネテレビ」が話題となった。

 総視聴回数が7400万を突破し、同サービスでこれまでで最多となっただけではない。同放送内で、元SMAPで現在はオートレーサーとして活躍する森且行さんとの再会があり、「#森くん」がTwitterトレンド世界1位にランクインするなど、話題に事欠かない状態だ。

 これらの数字は何がすごいのか。それぞれの意味と価値を改めて見ていきたい。

 ※草なぎ剛さんの「なぎ」は、弓へんに剪

つい見てしまう動画視聴アプリ。中でも2017年にインパクトがあった番組といえば… (C) PIXTA
つい見てしまう動画視聴アプリ。中でも2017年にインパクトがあった番組といえば… (C) PIXTA

解散後初の芸能活動はインターネット

 2016年8月、SMAP解散のリリースがメディア各社にFAXで送られて日本中に激震が走った。SMAPとしての活動は年内に終了。3人がジャニーズ事務所を退所したのは、2017年9月のことだ。

 つまり、11月3連休における放送は事実上、解散後別の事務所に移って初めての本格的な芸能活動ということになる。ジャニーズ事務所は、いまだにインターネットが解禁されていない数少ない事務所の一つだ。それ故、ジャニーズ事務所出身の3人がインターネットTVに生出演することは、放送前から話題となっていた。

 放送では、市川海老蔵さん、堀江貴文さん、きゃりーぱみゅぱみゅさんなどの132組のゲストが登場。4日には森且行さんが出演し、21年ぶりとなる再会を喜びあうシーンも見られた。

テレビ視聴率に換算すると10%以上?

 「7400万」とはどのような数字になるのだろうか。この数字はユニーク数(ユーザーの数)ではなく、アクセスするたびにカウントされたものだ。例えば、同じ人物が3日間とも一度ずつアクセスしたとしたら、1ではなく「3」とカウントされる。つまり、7400万視聴は7400万人ではなく、7400万回ということになる。

 アジャイルメディア・ネットワークの徳力基彦氏の試算によると、『亀田興毅に勝ったら1000万円』企画の「1420万視聴」は、同時接続数(リアルタイムで同時に見ていたユーザーの数)では10%程度という。同じ計算でいくと、今回の7400万視聴における同時視聴数は740万程度となる。1日しか見なかったユーザーなどもいたと思われるので、累計ユニーク視聴者数で見れば、3日間でおそらく1000万人前後となりそうだ。

 なお、サイバーエージェントの2017年9月期通期決算資料によると、AbemaTVのアプリダウンロード数は2200万に上り、MAU(1カ月あたりの利用者数)は2017年9月時点で948万人となっている。累計ダウンロード数の3分の1、MAUの8割が見ているというのはかなりすごい数字と言えるだろう。

 AbemaTVは、パソコン、スマートフォン、タブレットなどでインターネットを利用して視聴できる。インターネットの利用率は総務省「通信利用動向調査」によると83%程度。日本の人口が1.27億人なので、その83%は約1億人となる。この1億人が、潜在的にAbemaTVを閲覧する可能性がある人数だ。

 つまり乱暴な計算をしてしまえば、1億人のうち1000万人前後が見たと考えると、視聴率にして10%を超えることになる。1億人には子どもや高齢者も含まれるので、10~40代くらいに限るとさらに高い視聴率だったと考えられるのだ。