心から大切に思っていないもの/惰性で続けていることはバッサリと切る

 時間がない! と認識すると、自分にとってどうしても外せないものを見極めることができます。あるママからはこんな話を聞きました。

「わが家の場合、今の段階での子育ての最優先は食事と睡眠です。ありがたいことに、うちの子どもたちは丈夫です。これは経験則ですが、たくさん食べて、たくさん寝ると子どもは健康なんだな、と思います。極端な話、一時期部屋が少し散らかっていたって、食事さえきちんと取っていれば健康に育つと考え、あまりにも忙しいときは掃除を後回しにすることもあります」

「最近引っ越しをしたんですが、通勤時間も割り切りました。通勤時間の長さと家族との時間や自分の体力、どちらを取るかと考えたとき、私の場合は家賃が高いのは多少なりとも諦め、会社に近くて便利な所に住むことにしました」

 優先順位は切羽詰まらないとなかなか決めることができません。「どう生きるか」ではなく「どう死にたいか」から考えるというママもいました。「どう死にたいか」を決めることで、普段の生活の物事の取捨選択がとてもシンプルになったそうです。

 彼女の場合、歓送迎会は1次会だけにする、年賀状は自分から書かないで返事だけにする、けんかはしない、ミスは起こさない、万が一ミスをしたら抱えない……といったように、自分の死に方を考えたときにあまり必要がないものはスッパリと諦めてシンプルになれたと言っていました。

やったほうがいいことより、やるべきことを優先する

 思い付きで物事を進めるのをやめたというママもいました。

 「子どもが生まれる前は、家事も思い付きでやっていたんです。例えば洗面所が汚れているのがたまたま目に付いたから掃除して、その横に洗濯物がたまっていたから洗濯して……というように、目に付いたものから片付けていました。今は、どうやったら効率化できるかを考えて、今すべきか、後ですべきかを判断しながら家事もするように心掛けています」

 「時間がかかりそうだから早めにやっておこう、という理由でやるんじゃなくて、何でも、その時、今の自分ができること、今の自分にしかできないことに集中できるようになりました」

 時間があると思うと、「やったほうがのちのちいいけど、やらなくても業務にすぐ支障がないこと」を何となくやってしまう余裕がありますが、そうはいかない状況になることですべきことが明確になります。皆さんの会社でも「ノー残業デー」などで強制的に帰らなければいけない環境を前向きに捉え「絶対やらなければいけないこと」を今のうちに洗い出してみるといいかもしれません。

プライベートと仕事を分けて考えない

 仕事の自分もプライベートの自分も同じ自分。次々と降りかかるタスクを「これは仕事」「これはプライベート」と切り替えるだけでも頭に負担がかかるものです。働くママの多くは家事の時短、仕事の時短が両方に影響を与えるため、同じ手帳に仕事/プライベートの予定を全部入れていました。

 家事に「残業」の概念を採用しているというママもいました。家事を21時以降に残すことを「残業」と意識して、基本的に21時までになんとか終わらせるように頑張るそうです。締め切り意識があるからか、21時以降を自分の時間にすることができるとのことでした。

 自由な時間が少ない分、きちんと自分の時間がつくれたときの達成感は大きいですよね。「子どもがいなかったときに飲む、ほっと一息のコーヒーと、今の一人時間で飲むコーヒーはおいしさが違う」とうれしそうに教えてくれるママもいました。