「働き方改革」が持つイメージがみんなバラバラなのが問題

 本来の「働き方改革」とは、会社に勤める全員が生き生きと働き、かつ会社も成長するような仕組みをつくることです。しかし、言葉の定義が曖昧なため、国も、会社も、従業員も、同じゴールを目指そうというところまでいっていないのが現状です。

 その結果、「働き方改革」が「働かせ方改革(経営側の一方的な押し付け)」や「休み方改革(今やっている仕事内容の改革ではなく、週休○日やインターバル制など、どうやったら休むことができるかに議論がすり替わる)」の意味で使われるようになっています。国、会社、働く人、お互いの行動が、どうもちぐはぐになってしまっているのです。

 特に、日経ウーマンオンラインの読者の皆さんの多くは一番この混乱に巻き込まれやすい側にいるため「いいかげんにしてよ!」という気持ちも含め、「働き方改革」という言葉にはザワザワするのではないでしょうか。

制度が整うのを指をくわえて待つ暇はない

 朝型勤務、リモートワーク、裁量労働制、インターバル制……。経営側は「ハコ」だけ用意するのに精一杯な状況で、現場は大混乱です。残念ながら、この混乱は数年続くだろうというのが私の見立てです。

 そんな中、私たちはどうしたらよいのでしょうか。

 私は、上からのトップダウンの変革を待つのはリスクが高いことだと考えています。なぜなら、変革を待つ数年の間、会社は制度を整えることに精一杯で、私たちのキャリアアップを支援してくれる余裕があるとは思えないからです。

 制度が整うのを待って不満を感じながら現状維持で目の前のことを一生懸命こなしている間、忙しさに追われて自分のスキルを上げる創意工夫をサボれば、自分のスキルをさび付いたものにしてしまう可能性だってあるのです。

 脅すようですが、指をくわえて仕組みづくりを待っていては、そのうちあなたの仕事もAIに取って代わられるかもしれません。

 会社員時代、私は「あ、もうすぐ自分の仕事がなくなる」という強烈な危機感を感じたことがありました。私は資料作成を専門とする部署にかつていたのですが、ボタン一つで私たちの部署が作っていた資料のテンプレートができてしまう画期的なソフトが導入されたのです。このソフトのおかげで私達の残業量も劇的に改善されたのですが、一方で、今まで30分かけて作っていた資料を、5分程度で仕上げてしまうソフトの存在に「このままじゃ私自身が機械に取って代わられる」と思い、自分の価値をいかに高めるかを本気で考えた結果、仕事を待つのではなく仕事を作る立場となることができています。この経験があるからこそ、声を大にして言いたいのは「忙しさに流されて自分の働き方改革を怠るな!」ということです。