素朴に質問して「前言撤回力」を磨こう

 では、小さい頃からの「呪いの言葉」を自ら解いて自由になるためにはどうしたらよいのでしょうか。私は「前言撤回力」に着目しています。

 「前言撤回力」とは私の造語ですが、過去の自分の行動や言葉にとらわれて今の気持ちをおろそかにしない、という意味です。

● 私は昔からこういう性格だ
● 私は過去にこんなことを言われて傷つき、行動できなくなった
● この前言ったこととつじつまが合わないから言うのをやめよう
● 決めたことができないと意志薄弱と思われる

 そんなふうに過去の自分に固執して、今感じている自分の声をかき消すことをまずやめてみることが、過去に傷ついた言葉から逃れる第一歩です。

 自分が信じている常識が、今の自分に合っているなんて思い込まなくてよいのです。

 「自分は人にこう言われたからできない」と思っていたのは、今の自分ではなくて、過去の自分です。今の自分は、過去の自分よりも経験を重ねていて、分別もあるわけですから、過去の決断が仮に間違えていたとしても、それに今気付けたのならそれでいいわけで、自分の本当の心を押さえたまま我慢して、貴重な人生を無駄にする必要はありません。

 今はどんどん「常識」とされるものが変わってきています。20~30年ほど前は教わったものを、正確に、機械のようにそのままできることが「優秀」だと思われたかもしれませんが、今後そういったことは機械がやってしまうから「優秀」の概念も変わってきています。過去に「24時間戦えますか」というキャッチコピーで話題になったCMは、当時は全く問題とされませんでした。むしろ好感を持って迎えられていたほどでしたが、今流したら間違いなく大炎上することでしょう。世の中の常識がこれほど変わってきているのに、自分の常識をアップデートさせない手はありません。

 小さな一歩かもしれませんが、今感じている自分の素朴な気持ちを大切にすることが、過去の思い込みやとらわれから決別するための第一歩となります。

今回のまとめ

 今回の話をまとめると、次のようになります。

●「過去に傷ついた言葉」にとらわれると「じぶん働き方改革」の推進の邪魔になる

●全く違った視点で問題を眺め、飛躍した切り口から働き方を改革するためにも、自らをジャッジして制限する「言葉の呪い」から逃れよう

●素朴な疑問をそのまま発することができるのが、本当にできる人

●自分が知らないこと、助けてほしいことを気軽に口にして、助けてもらいながら自分をどんどんアップデートさせていこう

●一流の人の仕事ぶりを盗むコツが「前言撤回力」を身に付けること

●気軽に「前言撤回」し、今自分が感じていることを素直に発信していこう

 先日、作家・ブロガーのはあちゅうさんとトークイベントを開催しました。

【前編】はあちゅう&池田千恵 「サブ手帳」をすすめる理由は
【後編】はあちゅう&池田千恵の、手帳を書くときのルールとは

 イベントの中ではあちゅうさんは「過去の自分は他人」と言っていました。他人と思ってしまえば、新しいチャレンジにもちゅうちょがなくなりますよね。過去のつらい思い出にとらわれず、あなたの未来がよい方向に向かうことを心から応援しています!

過去の自分の行動や言葉に捉われないで (C)PIXTA
過去の自分の行動や言葉に捉われないで (C)PIXTA

文/池田千恵 写真/PIXTA

さあ、働き方改革をはじめよう。明日から実践できるノウハウが盛りだくさん。
連載一覧はこちら ⇒ じぶん働き方改革