伝えたいことを簡潔にまとめるスキルの磨き方

 メールが遅くなってしまう理由は大きく3つあります。

1.伝えたいことを簡潔にまとめるスキル不足
2.単純にタイピングが遅い
3.よく使う文言を自分なりにまとめていない

 今回は、「伝えたいことを簡潔にまとめるスキル不足」を解決するための方策を述べます。2、3については次回詳しく説明していきます。

 最初にすべきことは「何を書くか」ではなく、「メールを送った後、相手に何をしてほしいか」を明確化することです。具体的には、メールを書く前に次のポイントを意識してみるようにしましょう。

1.メールタイトルかメールの冒頭で、このメールを読んでどんなアクションを求めているかを明確にする
2.「何がどうした」「誰がどうした」「で、私にどうしてほしいの?」が、パッと読んで分かるようにする
3.「週明け」「午後イチ」「朝イチ」「今日じゅう」など、人によって解釈が異なる言葉を避ける

 例えば、あなたがメーカーの商品開発部門で働いているとして、30代子育て中の女性を集めてグループインタビューを開催し、リアルな声を集めて商品開発に生かそうと思っているとします。担当のあなたの他に、オブザーバーとして商品開発だけでなく営業を統括する林部長に参加を打診し、営業視点ならではのアドバイスをもらいたいと思ったとき、どのようなメールを送ればいいでしょうか。Before→Afterで見てみましょう。

スルーされる残念メールはコレ

 まずは、残念なメールの例からです。

<Before>

件名:グループインタビュー開催につきまして

林部長
商品開発部の池田と申します。突然のメール失礼いたします。

 都市部在住30代子育て中の女性で、かつ正社員で働いている女性向けの○○という商品を開発できないかただいま模索中です。

 営業を統括されている林部長のご意見もお伺いしたく、お忙しいところ恐れ入りますが、○月×日、△時~○時、第2セミナールームで行われるグループインタビューにオブザーバーとして参加いただけないでしょうか。お時間のあるときにご返信いただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回分かりやすくするために少し大げさに書きましたが、目上の人に送るからといって、本当は返信を早くもらいたいものを「お手すきの際で結構ですので」とぼやかしてメールの依頼をする人が結構多いのです。途端に返信率も低くなり、要点がつかめないためにスルーされることが多くなります。

 また、「ご意見をお伺いしたく」だけでは目的は不明確です。「なんで貴重な時間を使ってまで私に出てほしいのか?」の必然性も見えないため、このメールでは断られてしまう可能性が高いです。

返事をもらえるメールはコレ

<After>

件名:【△月×日までにご返信希望】グループインタビューのオブザーバー参加のお願い

林部長
商品開発部の池田と申します。

今回営業を統括している林部長にぜひともグループインタビューにご同席いただきたく、突然ですがメールさせていただきました。

都市部在住30代子育て中の女性で、かつ正社員で働いている女性向けの○○という商品を開発できないかただいま模索中で、今度対象の方に来ていただきグループインタビューを行います。

つきましては、直接取引先や店舗で対象となる女性と接する機会が多い林部長に、グループインタビューでは見えないホンネの部分を参加の皆様から引き出していただきたく、ぜひともオブザーバーとして入っていただけないでしょうか。

お忙しいところ恐れ入りますが、もし参加いただけるのであれば、
△月×日までにご返信いただけますでしょうか。

どうぞよろしくお願いいたします。

グループインタビューの詳細は以下になります。

<目的>
新商品開発のために対象となるお客様にインタビューを行う
林部長にオブザーバーとして参加いただき、営業統括の知見を通じてインタビューに潜むホンネを引き出していただきたい

<日時・場所>
○月×日、△時~○時
第2セミナールーム

 このように、「何がどうした、ついては相手に何をしてほしい」が分かるようにすると相手にも余計な時間を使わせないで済みますし、返信日時も曖昧ではなく明確に書いておいたほうが「いつまでに返事をしないといけないのか?」という疑問に先回りして答えていて、部長も助かります。期日までに返信がなければ、残念ですがスルーされた、ということも分かるのでムダなイライラに悩まされることも少なくなります。