自分の仕事の仕方を徹底的に見直し、会社の改革を待たずに今すぐ自己改革を始めよう! がコンセプトの本連載「じぶん働き方改革」。働き方改革のコンサルティングを行っている池田千恵さんが、今回から3回にわたり、残業を減らして生産性を上げるためのタスク管理の方法について解説します。

計画が進まない人は「隠れ自信家」の可能性

「計画通りにいかない」と悩んでいる人の、本当の気持ちは… (C) PIXTA
「計画通りにいかない」と悩んでいる人の、本当の気持ちは… (C) PIXTA

 目標達成や朝活のアドバイスといった、生活習慣と密接に関わる仕事をしている関係もあり、立てた計画が思うように進まないという悩みを聞く機会が多くあります。

 「いつも計画通りにできないんです」という悩みを持つ人は、口では「できない」と言っているので自信がないように見えますが、実は「隠れ自信家」だと私は見ています。「自分は本気を出せばもっとできるはずだ」「まだ本気を出していないだけだ」と思っているから、本気を出した自分ならできるはずの、スーパーマンのような計画を立ててしまうのです。

 しかし、どんな人間でも365日24時間本気を出せるわけはありません。結局予定通りにいかず、そんな自分に落ち込むループに陥ります。

 「そうそう、そんな人いるよねー! 私は違うけど」と思っているあなたも、心当たりはありませんか? 毎日の予定に「今日は○○をする!」と書いたまま達成できず、1週間続けて同じことを書いていたら……。そんなときは、「私はまだ本気出してないだけ」「いつだって本気を出せば巻き返せる」と思いつつ、本気は永遠に来ないトラップにはまってしまっているのかもしれません。

 かく言う私も本の執筆のときにはいまだに「気合と根性」を注入しがちで「1日1万字書いて10日で仕上げる!」などという絶対に無理な目標を設定し、なんとなくできる気がしながら1カ月たってもほとんど書けていない、ということもあるので偉そうなことは言えないわけですが……。どうして人は、普通に考えたら絶対に無理な目標を「気合と根性で頑張ればできる気がする」と思ってしまうのでしょうか。

自分を過大評価しないためのタスク管理法

 能力がまだまだ追い付いていないのに、自らの発言や行動などについて実際よりも高い評価を行ってしまうことを、心理学用語で「ダニング=クルーガー効果」と呼ぶそうです。自分が「ダニング=クルーガー効果」に陥っていないかを意識的にチェックできるかどうかがタスク管理の鍵です。

 では具体的にどうしたらよいでしょうか。詳しく説明しましょう。

 「自分はもっとできるはずだ」と過大評価してしまう人は、タスクの立て方/タスクの振り返り方、両方が「雑」です。雑だから、客観的に分析できるデータになっておらず、振り返って改善しようにも改善できないのです。2つの「雑」とは具体的には以下のようなことです。

1.タスクの立て方が雑

 大きな「すべきこと」を一つ掲げるせいで、何にどれだけ時間がかかっているかが曖昧になっています。例えば「今まで1週間かかっていた企画立案を3日で終わらせる!」というざっくりした計画を立ててしまい、企画立案の中のどの作業が何分かかるかまで予想できないのがこの状態です。仕事の「粒」を小さくすると達成感が得られる上に進捗も分かりやすくなります。過去の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。

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2.タスクの振り返りが雑

 予定を立てたらそこで満足してしまい、振り返りがきちんとできていません。

 現実を見ると、例えば10もできると思っていたことが、実は1しかできなかったということが明らかになったとき、自分の能力が低いと思いたくないから、目をそらしてしまうのです。

 いずれにしても、まずは等身大の自分と向き合うことから始めましょう。2つの「雑」をクリアすることができれば、無理な目標を立て、できない自分を責めるループから脱却することができます。

 予定を立てただけでできた気になる自分と、実際にはできなかった自分。この2つを冷静に突き合わせる手段としておすすめなのが、会社で使用しているアウトルックなどの予定管理ソフトを、予定だけではなく実際にやったことまで記入し、「予実管理ツール」として活用することです。次のページから詳しく説明していきます。