定時で帰るように始めた趣味が、仕事にも生きる

――Y・Tさんの「お金の使いどころ」は、どんなところでしょうか。

 「その瞬間だけの満足度だけでなく、『自分が長期にわたってハッピーになれる』というものにお金を使うようにしています。旅行が大好きで、旅行は長期にわたってハッピーになれることの一つなので、旅行代は惜しみません。昨年の夏はインドに行って、近々アメリカを旅行する予定です。自分が経験したことがないことを、少しでも多く経験してみたいんです。

 それと、仕事以外にもチャレンジをしたいと思って、普通自動二輪(AT)の免許も取得しました。バイクに乗ってみたいと思っていたのと、『残業時間を強引にでも減らそう!』と思ったからです(笑)。教習所に通うには、職場を定時に帰らないと間に合わないので、この免許取得のおかげで仕事を早く終わらせる習慣が強引に身に付いたように思います。また、最短で免許を取得するために、仕事でも行っている『PDCA』の重要性を痛感しました。また、自動二輪の免許を取ったことで、取引先の方との会話の引き出しも増えたように思います」

――日々の家計管理などは、されていますか?

 「はい、今はアプリのマネーツリーを活用しています。クレジットカード決済ができるものはなるべくカード決済にして、反映されるようにしています。自分で入力しなくていいので、手間が省けますね。費目ごとの推移を通勤時間で見て、前月との差をチェック。無駄がないかを把握するようにしています。

 給料が上がり始めた当初は、お給料が増えた分だけ、つい余計なものを買ってしまっていました。でも、昔から『高くても、長く使えるいいものを選ぶ』という意識はあったので、当時買ったものが今も使えていたりして、後悔はしていないですね。散財をするとしても、『どんなものに散財をするか?』ということが、重要なのではと思います」

――収入満足度が75点、プライベート満足度が90点、人生の満足度が85点と答えていただきました。

 「今の収入で満足はしているので、本当は100点かもしれませんが、『もっとパフォーマンスを上げれば収入は上がるもの』と思って、その成長を目指して、75点にしました。1年で1点ずつ上げていって、仕事を引退するときに100点と言えるようにしたいですね。

 仕事にも、周りの人間関係にも恵まれていると思います。未婚なので結婚生活のイメージは湧きませんが、結婚したら、さらにプライベート満足度は上がるかなと思います。休日もアクティブに動いているので、オンオフともに楽しんでいると思います」

――お金を貯め始めたことで、人生の満足度は変わりましたか?

 「はい、人生の満足度は、一番は人間関係が良好かどうかだと思っています。収入が上がり、貯蓄ができると気持ちに余裕が出ます。そのことが、人と人とのコミュニケーションにもいい影響を与えていると感じます。

 お恥ずかしい話なのですが、私は以前、貯蓄がなかったときは、他の人の貯蓄額や、高いお金がかかるようなチャレンジをしている話を聞いて『いいなあ……』という羨ましい気持ち、妬ましい気持ちがありました。

 でも、自分自身が貯蓄できるようになってからは、そんなことは思わなくなりました。常に自分が成長していこう、たくさんのことを経験していこう。もし新しくやりたいことが発生しても、お金の問題でタイミングを逃すことはなくなったので、常に前向きな気持ちが生まれ、人生の満足度につながっていると思っています」

文/西山美紀 写真/PIXTA