2.「本当はどうしたかったか?」を明確にする

 それでもまだ心配し過ぎてしまうときは、心配を引きずらないためにも、次のようなことを自分に問いかけてみましょう。

 「本当は、どうしたかったか?」
 「本当は、どうしてほしかったのか?」
 「本当は、どんなことを期待していたのか?」

 実は、「期待と現実」のズレが続くことが、心配をし過ぎてしまう要因の一つになっています。あなたが、心配をし過ぎているということは、何かしらあなたの期待とズレていることがあるのです。

「本当は、どうしたかったか?」と自分に問いかけてみよう 写真/清水知恵子
「本当は、どうしたかったか?」と自分に問いかけてみよう 写真/清水知恵子

 そして、人は「本当はどうしたかったか?」という期待を、自分自身でも認識していないことのほうが多いのです。そのズレを無視したまま先に進もうとすると、さらにズレが広がってしまい修正が難しくなります。「心配」は、期待と現実がズレていることを教えてくれるサインになっている場合があります。

 テニスやゴルフの試合で、ミスショットした選手が直後に素振りをすることがあります。これは、ミスショットという期待と現実にズレが生じたときに、「本当は、こう打ちたかった」というイメージで、直ちに素振りをすることで修正しているのです。そうすることで、「うまくいかないのではないか」という心配を断ち切り、「いいイメージ」に気持ちを切り替えることができるのです。

 心配し過ぎのスパイラルに入ってしまったときは、「本当はこうしたかった」「本当はこうしてほしかった」というあなたの期待を言葉にします。そして、スポーツ選手が素振りをするように理想型をイメージすることで、ズレが修正でき、思考や気持ちを切り替えることができます。

 もちろん理想は、心配なんてしないで日々気分良く過ごせたら最高です。けれど、理想を一方的に押し付けて、自分で自分の首をさらに締めているのだとしたら本末転倒。

 心配になってあれこれ悩んでもいいんです。人間なんですから、心配することくらい誰だってあります。あなたが気分良く過ごせる時間が少しでも増えるヒントになれば幸いです。

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 最後に、ここまで全20話、お付き合いいただき、ありがとうございました。この連載は、ほんのちょっとのコツで、あなたが気分よく仕事や生活をする時間が増えるヒントになればとの思いで執筆しておりました。また、別の機会にお目にかかれることを楽しみにしております。

文/大平朝子 イラスト/三ツ木朗恵 写真/清水知恵子