「副業を始めたきっかけは?」「両立は大変なのでは?」。副業に興味はあっても、さまざまなことが気になって一歩を踏み出せない人も多いはず。そこで、人材会社のビースタイルで副業をしている3人の女性に話を聞きました。目的や動機は三者三様ですが、共通するのは「働くこと」への意識が明確なことでした。

副業は大変なことばかりじゃない?

 ビースタイルは、専門職経験を生かした時短勤務やパートタイム型のオフィスワークなど、多様な雇用形態で企業と女性の求職者のマッチングを行っている会社です。女性の働き方の可能性を広げる事業を展開しているので、社内でも柔軟な働き方を受け入れる風土があります。副業も社員からの要望を受けて制度化されたものの一つです。今回は、その中から若手の女性社員3名にお話を伺いました。

Case1 収入アップ+本業でのスキルアップにつなげたい

 事業企画チームで事務として働く岡野有紗さんは、1年ほど前から毎週土曜に不動産屋でアルバイトをしています。勤務時間は午前10時から午後5時。小さな会社なので、来店者の接客や内見への同行、ホームページの更新など幅広い業務をこなしています。

岡野有紗さん 事業企画チームで事務や新人研修などを担当。毎週土曜に不動産屋でアルバイトをしている
岡野有紗さん 事業企画チームで事務や新人研修などを担当。毎週土曜に不動産屋でアルバイトをしている

 「副業をしようと思った理由は二つです。一つは副収入が欲しかったこと。もう一つは前の部署で人材派遣のコーディネーターをしていたときに、求職者のリアルな気持ちを知りたいと思ったこと。選考の結果どうしてもお断りする人が出てくるので、自分も選考を受ける立場を経験しようと思い立ちました。今の副業先は、女性が安心して暮らせる住まいにフォーカスしている点が本業に通じるのでは、と興味を持って始めたんです」(岡野さん)

 多岐にわたる業務を任されることで、仕事に自主的に取り組む姿勢と責任感が芽生えたと話す岡野さん。それは本業にもいい影響をもたらしました。

 「以前は一対一の交渉が苦手だったのですが、不動産屋で接客営業を経験してから、本業でもクライアントと緊張せずスムーズに交渉できるようになりました。また、不動産屋でスケジュール管理をすることによって、タスク管理能力も向上しました。本業と副業はあえて区別せず、グーグルカレンダーでまとめて管理しています」(岡野さん)

 学生時代はアルバイトを3つこなすなど「かけもち」はもともと得意。頭の中で仕事が混乱することはなく、むしろ二つのよりどころがあることで、一方がうまくいかないときも、もう一方がうまくいっていればバランスが取れ、自信にもなるそうです。

 一方で、副業をやってみて大切だと気付いたのは健康管理だそう。土曜に仕事をしていると、体調を崩して病院に行く場合は平日に会社を休まなくてはいけません。だからこそ3食きちんと食べ、最低7時間は睡眠を取るなど規則正しい生活を心掛けています。「一つの副業で、こんなに経験の幅が広がると思ったら楽しくて。あわよくばもう一つやりたいくらいですが、やり過ぎには注意ですね」。

【岡野さんの1週間のスケジュール】
平日:午前9時~午後6時 勤務(本業)
土曜:午前10時~午後5時 不動産屋でアルバイト(副業)

【副業の平均月収】
約3万円

【副業してよかったこと】
◆幅広い業務を経験でき、自主的に仕事に取り組む責任感が芽生えた
◆タスク管理能力が向上した