副業を隠さずに働ける その背景では…

 3人の話からは、本業に責任を持って取り組みながら、副業を自己実現の場に活用している姿が浮かび上がってきます。一方で、会社としては副業制度のメリットや運用上の注意点をどう考えているのでしょうか。人事ユニットマネージャーの岩本恵子さんにポイントを伺いました。

ビースタイル 人事ユニットマネージャー 岩本恵子さん
ビースタイル 人事ユニットマネージャー 岩本恵子さん

Q.社員の副業を認めるボーダーラインは?

A.副業の「勤務時間」と「頻度」を把握した上で可否を判断

 「副業をする際は、最初に所属上長を通して申請書を出してもらうことにしています。人事として気を付けているのは労働時間です。働き過ぎて体調を崩すようなことがあっては労務管理上問題なので、あくまでうちが本業で、なおかつどれくらいの『頻度』でどれくらいの時間を副業に費やすのかを申請書に記載してもらい、把握するようにしています。副業先が変わらなくても勤務状況が変わることがあるので、申請書は毎年必ず提出してもらいます」

Q.副業制度のメリットは?

A.会社を辞めることなく「外の世界」を見ることができる

 「今回話をした3人は全員が新卒入社の若手社員です。20代後半というのは、『今いる会社は他の会社と比べてどうなんだろう?』とを考え始める時期。そんなとき、退職しなくても『他を見てきてごらん』と言える副業制度は、視野が広がり、いい機会になると思います」

Q.運営上の工夫は?

A.上司とのミーティングで副業に関する情報を共有

 「当社では毎週上司との一対一のミーティングがあるので、副業をしている人には今どんなことをしていて、仕事にどう生かせているかを聞いたりもしています。新しいことを始めるのは人事的には非常に大変ですが、社員が長く働き続けたいと思える会社であるために、さまざまな要望や制度を取り入れていくのが私たちの仕事だと思っています」

文/谷口絵美 写真/西田優太