ちょい不良(ワル)オヤジもすでに「ジジ」…

 「素敵にジジってますか?」——シルバーならぬゴールド世代指南誌として、あの「LEON」創刊編集長だった岸田一郎氏が60代のシニア男性向けライフスタイル誌「GG」を創刊。そのニュースがアナウンスされるや、岸田氏はあちこちのメディアに引っ張りだこ、SNSも「GGって何だ」「またLEONの岸田さんか」「60代になってもまだモテたいのか?」と順当に炎上しました。

 直球の「GG」というネーミング、そして「シルバーじゃないぜ、ゴールデンだぜ」と初めに“前提”として言い張っておく余裕のアティテュードに私が感じたのは、まずガツンとした衝撃、そしてヤラレた……感。品の良い日経ウーマンオンラインで口にするには少々言葉は悪いですが「来やがったな!」と思ったのです。

「シルバーじゃないぜ、ゴールデンだぜ」(C)PIXTA
「シルバーじゃないぜ、ゴールデンだぜ」(C)PIXTA

 それにしても「JJ」ならぬ「GG」というネーミング、確かに人生を積み重ねてきた彼ららしくちゃめっ気たっぷりではあるものの、年配の男性というだけで拒否感のある層には「絶対おちょくってる」「ケンカ売ってんの?」と気色ばむ女子も。私も、ニュースだけを聞いたときは警戒心から「さて、どうやって批判してやりましょうかね!」と鼻息荒く意気込んでいました。

 店売直後に手に入れましたが、まあ創刊号からトップスピードで元気なこと。創刊号ゆえに雑誌の世界観をくまなく伝えようとの意図があるのはもちろんですが、ファッションに車に時計にグルメにレジャーに……と「LEON」第1世代がいかにも「これぞ人生」と自負する消費生活のあらゆる側面を、良いものを知り尽くしたジジ価格で網羅する中、異色なのは「枯れ」を意識した文章のディテール。

 「もうあと何回飲めるか分からない」「ボケ防止」「行かずに死ねるか」「終の住処」「相続問題」……。おや? なんだかトーンが思ったよりもイケイケじゃない、せいぜい想像の6〜7割がけくらい。なんだかかわいげというか、しっとりとした良ささえ感じてしまうのです。

で、狙うのはやっぱり「お姉ちゃんとのドキドキ」なの?

 特にネットの若い世代の間で話題になったのは、「死ぬまでモテたい」と言い切った岸田一郎氏の言葉。

 「まだ女にモテたいのか?」「ビョーキだな」とあきれる声も多かったのです。だってちょいワルオヤジといえば、基本的に「若くてきれいなオネーチャン」をいかに落とすかということに執心し、明にも暗にも婚外恋愛でフラフラと遊び回ることを「イタリア男に学べ!」とした人々。

 でね、アラサーやアラフォーの女子からすると、もう結婚している人もいたりするので、そういう「シニア男性が若いオネーチャンを狙う」っていうシチュエーションがなんだかすごく生々しくて、ちょっと引いてしまうものなんですよ。介護を受けるおじいちゃんが若い女性介護士さんにセクハラするとか、おじいちゃんが嫁や娘世代にそういう関心を持つとか、そんなのを連想してしまうわけです。

 ところが「GG」創刊号70ページでは、「東京その気にさせる店」と題して白金台のイタリアンを紹介しつつ、こんなことを言っています。