私たちには、専業主婦か、働くかの二択しかないのでしょうか?

 日経WOMANオンラインでは、5月中旬から約2カ月にわたり、「専業主婦からのキャリア」と題して、「自分らしく自由に、幸せな人生・新しい働き方をつかみ取るために必要なこと」を模索する特集を組んでいます。

 専業主婦経験のある女性たちがビジネスの現場で大きな活躍を遂げている昨今、もう「専業主婦 or NOT」の二項対立で女性が人生を考えたり、お互い反目するような時代は過ぎたのではないか。

 かつて専業主婦として「こんなのは私じゃない」と自分自身を認めることができずに苦悩した私ですが、結婚以来22年たち、どの時代も現在の自分にとっては必然だったと思えるようになりました。

 ママ友関係に疲弊し憎悪していた専業主婦時代も、コマ給で黒板の前に立ちっ放し、しゃべりずくめで働いていた学習塾講師時代も、フリーランスとして自分の裁量で仕事をする現在も、今の私の仕事を形づくっている。

 専業主婦の私も、働いている私も、一人の人間であり、表裏一体の私自身なのです。

もう「専業主婦 or NOT」の二項対立で女性が人生を考える時代は終わりにしない? 写真はイメージ (C)PIXTA

 専業主婦を軽視・否定することも、働く女性を軽視・否定することも、どちらも本質は「もう一人の自分に唾を吐くこと」だと、私は思っています。

「あなた、働いたことがないの? 一度も? 信じられない」

 学生結婚・出産をして就職せずに「新卒お母さん」になった私には、全く無収入の専業主婦時代も、いわゆる「扶養範囲を超えずに収入を得る」主婦時代もあり、扶養を出たり入ったりしてきました。だから、「専業主婦」と聞いただけで途端に牙をむくキャリアウーマンの言葉に、専業主婦としてひどく傷ついたこともあります。

 上の子どもがまだ1歳半、私自身が24歳だったでしょうか。私はそこそこ勉強をしていたつもりの大学を卒業して、でも大学院に進学しなかったのは、ひとえに私に研究と子育てを両立する自信と経済力がなかったからでした。夫は新卒で企業に勤め始めたばかり。収入も働いた経験もないくせに子どもだけはいる私が、そのタイミングで合格通知をもらっていたアメリカの大学院になど行けるわけも、その資格もなく(と自分で思い込み)、しばらくは専業主婦として小さな子どもと平日ワンオペ育児を続けながら、代わりに1990年代後半当時はやっていた「米国公認会計士」資格を取得することにしました。

 東京の一等地にあるそのスクールには、会計士や投資銀行、コンサルタントへのキャリアアップを目指すサラリーマン、サラリーウーマンだけでなく、一度就職した会社をなんらかの理由で退職した人や、当時日系金融業界で吹き荒れていたリストラに遭った人もいました。

 それだけホットな場所でもあり、皆とても意欲的で、中には自分を追い込んでいる人もいたのでしょう。受験日が数カ月後に迫ったある日の授業の休憩時間、隣に座った30そこそこの女性に試験に関して小さな質問をしたらとても邪険に扱われ、「どこに勤めてるんですか?」と直球で聞かれました。

 「子どもが小さいので専業主婦です。大学卒業後、就職できなくて」と正直に答えた時の、彼女の表情と声音を忘れたことはありません。

 「あなた、働いたことがないの? 一度も? 信じられない」

 そのまま彼女はプイと顔を背け、二度と会話をすることはありませんでした。