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29歳問題。なぜそれは「問題」なのか(3/3)

2018年5月16日

「一線を越える」前の私たちに普遍的な迷いと、その処方箋

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「年齢だけでなく、普遍的な人生の岐路を描いた」映画

 「映画を見てくれたさまざまな国の方々の反響から、私が感じた範囲ですけれど」、とパン監督は前置きし、「確かにアジアでは年齢的なプレッシャーがあると思います」と指摘します。「この映画は2005年が舞台ですが、今や自立した女性の多い香港でも、数年前くらいまでは年齢の問題が今より重大に感じられていました。日本や北京でもそのプレッシャーはありますよね。特に中国ではいまだにとても深刻です」

「アラサーの戸惑いやストレスって、世界共通なんでしょうか?」――キーレン・パン監督にぶつけてみました 

 でも、米国での反応は少し傾向が違ったそうです。「彼らは、この映画のテーマは年齢だけでなく、ワークライフバランスのプレッシャーや、生きる意味を探すことだと感じたようなのです」。さらに、「男性でも、例えば40歳を前にして心身の加齢を感じたりして、生き方を見つめ直したりします。それと同じで、単に女性の年齢の問題にとどまらず、『いかによく生きるべきか』の選択をする、普遍的な人生の岐路を描いているんです」と説明します。

「後悔なんかで、人生の時間を無駄遣いしないで」

 パン監督は、今40代。自分自身が30歳になる前を、こう振り返ります。「自分を変えたくて、変わりたくて、大学卒業後から勤めていた商業劇団を辞めたのが28歳の時。でも演劇業界の若手って一般企業勤めとは違って、悩みが『明日の家賃を払えるか』とか、そういうことなんですよ。映画で描いた登場人物に比べると、もっと幼かったと思います」

 29歳で奨学金を得て、パリへ留学。「でも30歳になった時、私にも突然変化が押し寄せたんです。脚本を書く仕事が始まって忙しくなり、彼氏とは別れ、親しい人に問題が起きた。それまで自分が30になる不安なんて感じたことなどなかったのに、一気に心配事が増えて、『これは大きな問題だ』と初めて意識し、脚本の題材にしました」

香港電影金像奨新人監督賞を受賞したキーレン・パン監督にも「29歳問題」は起きたのです

 脚本家、舞台芸術プロデューサー、舞台女優、そして映画監督と、それからの活躍が目覚ましいパン監督ですが、若い頃に戻れたら、とは考えたことがないのだとか。「人生を巻き戻せたら、とは考えたことがありません。それぞれの岐路に差し掛かるたびに、どう生きるべきかを自分で一生懸命考えたのなら、どんな選択であれ正しいと思います。後悔で時間を無駄にしてはダメ」

 そして、今アラサーに差し掛かる女性に向けて、こんなメッセージをくれました。「大人になることでいろいろな問題が押し寄せ、『どうして私が?』と悲観的になることもあるかもしれないけれど、そう悩むのはあなた一人ではありません。その問題は必ず克服できる。前に進める。そう、前に進むってことが大事です。その場から離れることで深呼吸して、新しい考えを手に入れる。私たちは成長できるんです」

 「アラウンド=周縁」でぐるぐると悩む気持ちは、30前の女性だけでなく、あらゆる文化・年齢・性別のどんな人も普遍的に抱くもの。でもそこからとにかく前に進み、「いかによく生きるべきか」を大事にして決めた選択は、結果的に私たちの人生を裏切らない。それは、他人のせいや他人の影響で決めたことでなく、自分の頭で、自分の責任で、自分のために必死で考えたことだからなのかもしれません。

「29歳問題」

●監督・脚本:キーレン・パン
●出演:クリッシー・チャウ、ジョイス・チェン、ベビージョン・チョイ、ベン・ヨン
●配給:ザジフィルムズ/ポリゴンマジック
原題:29+1/2017年/香港/広東語/111分/字幕翻訳:鈴木真理子
公式サイト
5月19日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
(C) 2017 CHINA 3D DIGITAL ENTERTAINMENT LIMITED

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河崎 環
河崎 環(かわさき・たまき)
コラムニスト。1973年京都生まれ、神奈川県育ち。家族の転勤により桜蔭学園中高から大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部卒。欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での生活を経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、テレビ・ラジオなどで執筆・出演多数。多岐にわたる分野での記事・コラム執筆を続けている。子どもは20歳の長女、11歳の長男の2人。著書に「女子の生き様は顔に出る」(プレジデント社)
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