就活で魂を売る? 売らない?

 やはり就活で何を着るかは、自分の生き方の選択にも大きく関わってくる、大事な問題。「就活時を振り返って、どんな服装をして、どんなことを考えていましたか?」――各世代に聞いてみました。

◆色が気に入った薄い水色のスーツを着ていました。顔色もよく見える気がして、面接時にも気持ちが落ち着いた覚えがあります。(40代前半)

◆一斉に自己分析して同じ服着て同じことを語る就活に違和感があり、百貨店に行っても気分が上がらず「買わずに帰る」で2カ月。好きな男子が就活を始めたのをきっかけに就活を開始(なんという奴)。準備ができておらず、「エントリーシート提出=第一面接」だと知らずにブーツと私服でマスコミ面接へ行き、焦って何も言えずに落ちました(みんなスーツで準備万端)。結局、コスプレ就活を始めてからは、きちんと就活(自分が何をしたいのか)と向き合えました。今思えば、明確なやりたいことが語れないのに変にすれていました。(30代後半)

◆面接には自分の個性を出し、服装で覚えてもらえるように、ロングスカートをはいていきました。いわゆる硬派な企業は受けなかったこともありますし、デザインなどのクリエーティブな仕事を希望しているのに、リクルートスーツじゃ個性が失われるので。(30代前半)

◆普通のリクルートスーツを着ていました。特に何も考えてなかったと思います。なんとなく「オシャレじゃないな」ぐらいは思っていたかもしれませんが、とにかく受からないつらさがすごくて(リーマンショック後の就活でした)、みんなが同じ格好をして就活をすることに疑問を感じる余裕がないという感じでした。(30代前半)

◆「自由な服装で来てください」という企業の面接は、<水色のスカート・無地のインナー・白いジャケット・ベージュのパンプス>、あるいは、<ネイビーのパンツ・花柄のインナー・白いジャケット・ベージュのパンプス>のいずれかで行きました。「自由な服装で来てください=あなたの個性を服装でも表してください」と捉えていたので、きちんと感もありつつ、自分の好きな色や柄で個性を表現。特に服装の指定がない場合は、黒のリクルートスーツ(スカート)で面接に臨みました。就職活動の時期に入った途端、皆が髪の毛を黒く染め、没個性的に黒いスーツに身を包むことに違和感はありましたが、同じ髪型、同じ服装をしていても、発言や行動からにじみ出てくるものが「個性」なのではないかなと気付くようにもなりました。(20代前半)

 およそ22歳当時の女子たちが何を考えて社会へ出て行こうとしていたか。安室ちゃん全盛期で女子大生がブーツ姿だったり、自由な気風の企業が台頭したり、リーマンショック後でとにかく受からないつらさがすごかったり、それぞれの時代の就職事情が反映されたコメントに、心が震えました……。