■「登場人物たちの悩みが、いまちょうど自分と同世代の女子たちが抱える悩みと重なってまったく他人事とは思えず、普段はあまり漫画を読みませんが、タラレバだけは新刊が出たらすぐに買います。グサグサ刺さる話に、途中で読むのが耐えられなくなって休憩を挟んでしまうこともあるくらいですが、今の自分ではダメだ、変わらなきゃって、自分を鍛えるような気持ちです」(恋愛対象がなぜか既婚者ばかりと嘆くアラサー)

 私も、惰性と重力にうっかり負けてオンナノコの気持ちを忘れかけている自分にハッとすると、タラとレバの瞳孔の開いたドSなもの言いを読み、「お前なんか戦力外通告ダァァァァァ」と擬似的に叱ってもらって、かろうじて心の隅っこに粉のように残る「女子魂」を取り戻します。

 「このままじゃダメだ!って、私を叱ってほしい」――。

 『タラレバ娘』は、そんな刺激に魅入られた女子たちのバイブルとなっているのです。

”刺さって抜けない”第3位は残酷なこの言葉

 では、そんなタラレバジャンキーの私が、原作コミックス1〜6巻(ネタバレにならないよう、最新刊第7巻はおあずけです)の「ぐっさり刺さって抜けなかった名言」トップ3を、ここからのドラマの展開を邪魔しないように注意しつつ、独断と偏見でご紹介しましょう。

 第3位は、第2巻ACT8「パンチドランカー女」より、「リングの上でサンドバッグ」。

「お互いのこと何も知らなくても……あの瞬間だけは……愛されてるって感じたの。セックスってそういうことでしょ⁉︎ 違うの⁉︎」

「違うタラ」

「えっ」

「おまえらは愛されてなんかないんタラ。あれは愛の行為なんかじゃない。愛という言葉に踊らされて、おまえらはいつもリングの上でサンドバッグになって、ボコボコに殴られてるんタラ。33歳にもなって、どうしてそれに気づかないんタラ?」

(『東京タラレバ娘』 第2巻 ACT8「パンチドランカー女」より 東村アキコ著/講談社)
 うわぁぁぁぁ。一晩だけだとかセカンドだとか既婚者との不倫だとか、そんな先のない体の関係にしがみつき、「愛されている」と自分に言い聞かせて依存してしまっているようなアラサーやアラフォーの心をズタズタに引き裂く、このセリフ……。

ちょっと…泣いていい?(C)PIXTA
ちょっと…泣いていい?(C)PIXTA

 東村先生ったら残酷! でも真実! もっと言って! 目を覚まさせて!!
 それは愛の行為なんかじゃない、そんなのは愛じゃない、お前たちはリングの上で、衆人環視の中、サンドバッグとなってボコボコにされる姿を晒しているのだ、と。

 もうここで「グフっ(吐血)! これ以上は無理ダッ!」と読むのをやめてしまう方も多いのではないでしょうか。御愁傷様です。でもそれじゃ一生変われないし、救われない。この痛みを乗り越えて、前へ、前へ進むのです……。