ビジネスのシーンに「謙虚」は必要か

<Aさん(32歳)のケース>

 ある会社で新しいプロジェクトが発足し、初顔合わせがありました。全メンバーがそろった席で、Aさんはこのように自己紹介しました。

「私は入社以来ずっと総務部におりましたので、本当に総務の仕事しか知りません。他の部署の皆様と一緒にこのプロジェクトに参加することになりましたが、皆様の足を引っ張らないか心配しています。これからお世話になりますが、どうぞ皆様いろいろと教えてください」

 プロジェクトの初顔合わせでこう自己紹介したAさんを、他のメンバーはどのような印象で受け取ったでしょうか?

謙遜は、ほどほどに イラスト/六角橋ミカ
謙遜は、ほどほどに イラスト/六角橋ミカ

 良く言えば、非常に謙虚な人に感じますね。「謙譲の美徳」は古来の日本人の精神ですから、これを心地よく感じる人もいるかもしれません。しかし、これから一緒に協力していこうというビジネスの場面には、ふさわしい内容ではありません。

 では、Aさんの発したメッセージの問題点をチェックしていきましょう。