ステップ3 第三者目線で眺めてみる

 では、ここまで書き出した紙を、眺めてみましょう。

 ただし、「自分の視点」をいったん横に置いて、「自分ではない他の誰か」の目で眺めてみることが重要です。

 例えば、今回の例に挙げた3人を、上司である「いつも席にいない部長」なら、どのように見るでしょうか?

 「Aさんは、いつも夜遅くまで残業しているねぇ。でも、彼女だけが特別にたくさんの仕事を抱えているわけではないのに、どうしてだろう? もしかすると、何か余計なことにまで手を出しているのか、要領や段取りが悪いんだろうか……?」

 「Bさんは、今日も定時のチャイムと同時に飛び出していったねぇ。きっと会社の外の活動が楽しくてたまらないのだろう。そろそろ会社の仕事にも本気を見せてくれたらうれしいんだけど……。彼女は、今の仕事がイヤで、転職の準備でもしているんだろうか?」

 「Cさんは、いつも眉間にしわを寄せて頑張っているねぇ。なんだか怖くてランチにも誘えないよ。部下が3人もいるんだから、自分一人で仕事を抱え込まずに、彼らにもっと仕事を任せればいいのにねぇ……」。

 あぁ、なんということでしょう!?

 Aさんの「プライベートを犠牲にした長時間残業」という頑張りは、「要領が悪い」というマイナス評価に、Bさんの「社外でのスキルアップ活動」という自己投資は、「仕事への本気度が見えない」というネガティブ評価に、Cさんの「自分一人で完璧にこなす」という努力は、「仕事を抱え込んで、部下をうまく使えない」というリーダーシップ面での能力不足を疑われる結果になってしまいました。

 これが、頑張り所が「ズレている」という悲しい症状なんです。

「間違った頑張り」ではなく「正しい努力」を

 「私はこんなに頑張っているんです!」と言う3人。ところがこの3人の期待は、まったく裏目に出てしまっているのです。

 3人が頑張っているのは、自分勝手に設定した目標にまい進すること。残念ながら、会社も上司も、そんなことは期待していないのです。会社の期待と、自分自身の努力がかみ合っていなければ、努力が報われないどころか、逆効果になってしまうでしょう。これが「間違った頑張り」です。

 どのような職場にも本質的な目標があり、どのような仕事にも職場や上司が期待するポイントがあります。そのポイントをしっかりと把握して、その期待に応えることこそ、「正しい努力」です。

 そのためには、職場の目標や上司から期待されていることを、しっかりと把握してみましょう。自分で勝手に推測して決めつけるより、上司や職場の先輩にストレートに聞いてみるのが一番です。

 ぜひ次回までに、改めて「自分に期待されていること」を確認してみてくださいね。

文/キャサリン門田 イラスト/六角橋ミカ PIXTA