朝が苦手でも習慣化しやすい朝食メニュー

池田:朝に苦手意識を感じていたり、朝食の準備が面倒臭いと感じていたりする人も多いと思うのですが、手軽に習慣化できそうな朝食はありますか?

西多:バナナはアスリート系ですが、手っ取り早い補給物質ではあります。同じ果物でもオレンジやキウイは洗ったり切ったりするのが面倒ですが、バナナは食べるのが非常に楽です。和食なら納豆がよいでしょう。多少ネバつきますが、付属のからしとタレをかけるだけで、ほとんど何もせずに食べられます。洋食ならシリアルやグラノーラが楽ですよね。袋から出して、牛乳やヨーグルトを混ぜれば食べられます。

池田:洗い物も少なくていいですよね。

西多:シリアルやグラノーラは雑穀やドライフルーツが入っているため、パン1個で済ませることに比べれば、手間の割にバランスが良いと思います。ちなみに、私は10年くらい前から、ヨーグルトか牛乳、シリアル、柑橘のジュース、パン少量という朝食パターンを続けています。

「私は、ヨーグルトか牛乳、シリアル、柑橘のジュース、パン少量という朝食パターンです」(西多さん)
「私は、ヨーグルトか牛乳、シリアル、柑橘のジュース、パン少量という朝食パターンです」(西多さん)

――読者に聞くと、朝ごはんを「エネルギー補給」と受け止めている傾向がありました。

西多:日経ウーマンオンラインの読者の方はスポーツ選手ではないので、エネルギー補給をする必要はありません。私にとって朝ごはんは、体内時計をリセットするための刺激剤です。エネルギー補給だと思うと、気が重くなってしまいます。コーヒー1杯だけでは刺激としてどうかと思いますが、量はそんなに必要ありません。

池田:体内時計のリズムをつくるきっかけを与える、スイッチとしての朝食ということですよね。

西多:覚醒が悪い人もいるわけです。目覚めが悪ければ、胃腸も目覚めが悪いので、そのまま食べるとオーバーフローで気持ち悪くなってしまいます。

池田:できることから始めてもいいですよね。例えば、インスタで食べたものの記録やパンのアレンジを載せて「いいね」をもらうことをモチベーションにするという方法もあるかもしれません。朝食が楽しくなるきっかけがあるといいですね。

――「レパートリーがない」という悩みも読者からは多くありました。

西多:朝ごはんは習慣化してしまうのが早道です。それができている人は、毎日同じものを食べていますね。女性の場合、毎朝何か工夫して、あれこれ作らなければならないという強迫観念が強いかもしれません。

池田:栄養バランスを考えなければと思ってしまいます。でも、毎日同じメニューでもいいということは、朝ごはんを食べる背中を押すきっかけになりそうですね。

西多:毎日凝らなければならない、変えなければならないと考えるのは気負い過ぎです。「今日は食べない」という変化はよくないですが、平素はルーチン化でいいのではないでしょうか。

プロフィール
西多昌規(にしだ・まさき)
精神科医/早稲田大学准教授
西多昌規(にしだ・まさき)
1970年石川県生まれ、東京医科歯科大学卒業。東京医科歯科大学助教、自治医科大学講師、ハーバード大学、スタンフォード大学の客員研究員などを経て、早稲田大学スポーツ科学学術院・准教授。精神科専門医、睡眠医療認定医。専門は睡眠、身体運動とメンタルヘルス。著書に「脳を休める」(ファーストプレス)、「『テンパらない』技術」(PHP文庫)など多数。

池田千恵(いけだ・ちえ)
株式会社 朝6時 代表取締役
池田千恵(いけだ・ちえ)
2009年発売「『朝4時起き』で、すべてがうまく回りだす!」(マガジンハウス)がベストセラーとなり、「朝活の第一人者」と呼ばれるようになる。現在は「早朝グルメの会」主宰、企業や自治体に対する生産性向上施策の提案、「グッドモーニングアワード」(朝時間.jp主催)の審査員など幅広く活動中。「書いて共有!チーム・プレゼン会議術」(日経BP社)、「朝活手帳」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。

聞き手・文/飯田樹 写真/小野さやか