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働く女性に贈る 最高の朝ごはん

料理がずらり並ぶ食卓でなくていい 土井さんの提言は

2017年9月20日

料理研究家・土井善晴さんスペシャルインタビュー

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 料理研究家の土井善晴さんが提案する「一汁一菜」という食のあり方には、食生活の提案に止まらない、人間形成のための哲学が流れています。一人でも生活していても正しい形で食事を作る。そこには健康のためだけではない、大きな意味があると土井さんは指摘します。土井さんに、一汁一菜とは何か。それはどう私たちを変えてくれるのかを伺いました。前回記事・人生が変わる、体が喜ぶ「一汁一菜」 土井善晴さん に続く、後編をお届けします。

「一汁一菜の食事」でも「安心感」がある

 人が作った食事には、その背景にあるもの、作り手がどんな気持ちで作ったかが出てきます。食事とは、ただ料理を食べることではありません。ちゃんと自炊して正しい形で食べられたら、自分の生活に自信が持てるのです。だから、「作る」ということに重心を置くことがとても大切で、一人で生活している人でも食事を作ることに意味があるのです。

 一人暮らしの人が母親と電話して、「ちゃんと食べてる?」と聞かれたとき、「うん、味噌汁ぐらいだけどね。それ以上はなかなか作れないけど」と伝えたら、お母さんは間違いなく安心するでしょう。お母さんが安心するようだったら、自分に自信が生まれる。逆に安心がないところに自信はありません。

 子どもが家に帰ってもお母さんがご飯を作ってくれない。ちょっと外でご飯を食べておいでと言われたら、自分の居場所がどこにあるか分からなくなります。そうした子どもが現実にいるわけです。同じように、一人暮らしであっても、親が安心するような、自分の居場所を作ることが大切です。自分の居場所があるということで、初めて安心して社会との接点が持てる。一汁一菜という食事を作ることで、そうした安心が生まれるのです。

 一汁三菜という食のあり方がいいのだと、世の中も、栄養士も言い続けてきました。皆さんのお母さんも、一汁三菜という食の型を信じてきたことでしょう。テーブルの上にいっぱい料理を並べる母の姿を見てきたから、頭に刷り込まれたそれが「できない」と、今の人たちは苦しんでいます。でも、一汁三菜は世の中が今と違って、お母さんたちがたくさん料理を作れる時代にやっていたこと。できないならやらなくていいのです。

 高度経済成長期に貧しいところから立ち上がろうとする中、日本人にはごちそうに対する憧れがありました。だからたくさんの料理を作るのがよしとされた。それがここにきて破綻しているのです。

 できないことをやろうとするほど大変なことはありません。一汁三菜ではなく、一汁一菜でいい。それを丁寧にやったら、自分の幸せの土台になるんじゃないかと思います。

 一汁一菜によって時間に余裕ができたら、例えばお菓子が好きな人は、シュークリームを手作りするとか、普段できないようなことをすることに意味がある。生きるための食事は一汁一菜でよくて、自分の好きなものは、大いに手間をかけて作ったらいいんです。

 つまり、一汁一菜というのは、手抜きをするということではないんです。その意味が分かると継続力も生まれます。

 また、私は本を書いているときなどは、本当に一汁一菜が最高の食事になります。食べ過ぎたら仕事になりません。そもそも食べ過ぎると、免疫力が落ち、暑い季節でも風邪を引きやすく病気になりやすくなる。食べ過ぎないことは、いいコンディションを自ら作るということでもあるのです。

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