恋愛や結婚を“one of them”にしてみる

――非常に幅が広い悩みですが、共通点はありますか?

森田 現在進行形の恋愛を、自分の中にある旧来の「恋愛」のイメージで捉えがちという傾向はあるように思います。そのイメージのもとになっているのは、多くの場合学生時代などの若い時期に確立した恋愛観だと思うのですが、働き始めてから培ってきた価値観や人生観との間に大きなギャップができているケースが多いように感じています。

恋愛に対するイメージが、変化しているのかも 出典/「生き抜くための恋愛相談」
恋愛に対するイメージが、変化しているのかも 出典/「生き抜くための恋愛相談」

清田 恋愛や結婚を「しなければならないもの」と絶対視している人に対しては、「いったんそれらを“one of them”にしてみませんか?」というのが我々としての提案です。人生には仕事や趣味や友達などたくさんの大切なことがあって、そのうちの一つとして恋愛がある。だからそこだけにとらわれず、とにかく全体の幸福度を上げるというのが大切ではないかと思っています。自分なりの幸福観を再構築した上で、自分にはどういう恋愛がいいのか、どういう人を求めているのかを考えてみると、自分なりの道が見えてくると思います。

 僕も31歳のときに当時の恋人と結婚を巡るすれ違いで別れてしまったんですが、それを機に自分の幸福観について考えみたところ、人生で最優先にしたい事項は「楽しくおしゃべりできる人たちと一緒に過ごすこと」「読書をしたり、映画や芝居を見ること」「それらを実現できる収入と時間を確保すること」でした。保守的な結婚観を持つ当時の恋人とは、そういう部分が決定的に合わなかったように思います。でも、そうやって自分が何を大切にしたいかがクリアに見えた結果、価値観の近しい人と縁あって結婚することができました。

――視点を変えて自分の人生観を見つめ直してみるということですね。

清田 そうですね。「好きな人が見つからない」と悩む人は、「好きな人を見つけなきゃいけない」という前提があるから悩んでいると思います。でも、無理をしてまで恋愛をしなきゃいけないという決まりはない。そこから見直すと、案外「私、好きな人がいなくてもいいかも!」と気が楽になるかもしれない。

森田 そもそも、若い頃の自分が思っていた「好き」とは違う判断基準で結婚したっていいわけです。自分の価値観の延長線上にある恋愛や結婚は「燃え上がるような好き」よりも、パートナーシップを確立できる「落ち着いた感情になれる好き」だと気付く、といったこともあるかもしれません。