「核心」と「周辺」の違い

 「おじさま」以外の男性との「周辺」を巡るデートでは、会話は上滑りしてしまい、麻里絵さんは感情を乗せることができず不完全燃焼で終わります。そのため麻里絵さんの中には「大事なことが話せていない」という感覚が残るわけです。一方の「おじさま」とのデートでは、「仕事」といった話のテーマ自体は他の男性の場合とほとんど変わりはないのに、会話はがっちりかみ合い、感情が乗り、結果として麻里絵さんの中に「大事なことを話している」という感覚が生まれます。

 つまりこの「大事なこと」こそが「おじさま」との会話にあってそれ以外の男性との会話にはないものであり、“核心=色気のある会話”に踏み込むための鍵になります。これは一般的にイメージされる色気やムードとはかけ離れたものだと思いますので、もう少し説明が必要かと思います。

色気のある会話の正体

 まず、ここで言う「大事なこと」とは、自分の中で大切にしている、普段は他人に話さないような事柄です。ではなぜ「大事なこと」を話すと色気が生まれるのか。それは、「大事なこと」を話す際には必ず言いづらさが伴うからです。普段は内に秘めたものを外に出すのですから、言いづらいのは当然といえば当然のことです。

 つまるところ「大事なこと」を話すという行為は、ある種の自己開示に他なりません。言いづらさを伴う自己開示は言ってみれば精神的に裸になるようなものなので、恥じらいやためらい、あるいは「ここまでしちゃっていいのかしら」という背徳感のような感情までがないまぜになり、全体として色気やムードが醸し出されます。そしてその色気やムードによって、相手も自己開示=脱衣していく。

 これが我々の考える色気のある会話の正体です。次のページからは具体的にどうすれば自己開示ができるのかということを、注意点とともに考えていきます。