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男社会の建設業界 女性の感性を生かして活躍するには(2/4)

2017年9月21日

人材不足なんのその! 地方の女性の力を最大限に生かす建設会社

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徹底したヒアリングによりクライアントの価値を空間全体で表現

――「菓匠きくたろう」は白を基調としたシンプルな空間で、いわゆる和菓子屋のイメージとは全く違いますね。カフェも併設し、平日でも女性客で大変なにぎわいです。

籠田:同じオーナーが経営する「スイーツショップ FAVORI PLUS(ファボリプラス)」を2009年に手がけたのが縁で、今回も発注していただきました。

 当社は女性の感性の鋭さを生かした「五感設計」が強みです。例えばFAVORIでは、焼きたてのバウムクーヘンの香りが食欲をそそるような換気構造にして、店内は焼き菓子の焼き色から小麦粉の白までのグラデーションをメインの配色に取り入れました。団塊世代の母とその娘、孫の3世代が立ち寄りたくなる店を目指し、狙い通りのお客様に支持されています。

 菓匠きくたろうは、1950年の創業当時に販売していた名物のかりんとうを復活させることを命題として店づくりが始まりました。苦労したのが、昔ながらの和菓子屋のイメージを大切にする団塊世代のオーナーと、時代に対応する要素も取り入れたい次世代の現場マネージャーの思いをどう一つにするかという部分。最終的には、はちみつレモンやわさびといった新感覚のかりんとうとも違和感なくなじむように、和モダンな空間づくりを提案しました。

北九州市の「菓匠きくたろう」。スタイリッシュな和モダンの空間。併設しているレストランは女性客でにぎわっていた
2009年に手掛けた「スイーツショップ FAVORI PLUS」。女性の感性の鋭さを生かした「五感設計」が強みが生かされている

――FAVORI PLUSの山田啓玄マネージャーにお話を伺ったところ、「オーナーと自分の双方の話をヒアリングし、まとめていただけたのがゼムケンさんの素晴らしいところ」と言っていました。また、「情緒的な価値を理解し、色や空間、動線といった様々な要素に気を配りながら一緒に作り上げていく籠田さんの手法が、ほかの社員にも行き渡っている」とも。

籠田:クライアントへのヒアリングはまさに社員教育で力を入れている部分です。メモを取るだけでなく、相手の第一声、何回も出てくる言葉、そして仕草などから本人もまだ気づいていないプロジェクトへの思いを引き出すことを大切にしています。

 当社の経営理念は「オモイをカタチに 建築は統合芸術」。女性社員の人材育成のノウハウを生かし、クライアントに対しても女性リーダーの育成とブランディングの浸透を同時に行っています。例えば東京の老舗そば店の新規出店の際には、新店の女性リーダー候補と設計施工会社の担当者、当社でチームをつくり、2カ月にわたってブランディングワークショップを行いました。建物は完成した時がゴールではなく、利用され、繁盛してこそ意味がある。特に女性が生き生きと働く店や会社が増えることは、地域の活性化にもつながります。

――女性ならではの強みを打ち出す「女性建築デザインチーム」の活動もされていますね。

籠田:はい。自社のブランディングとして、女性建築士やデザイナーが窓口となって家づくりや店づくり、街づくりを行っています。ネーミングをわかりやすいものにし、「Jポーズ」で笑顔を見せる生き生きとした女性技術者の姿をSNSで発信したり、街づくりのイベントを行ったりすることで、会社の知名度がぐっと上がりました。

丁寧なヒアリングでクライアント本人も気づいていない思いを引き出す。籠田さんが最も大事にしていることのひとつだ。右写真はファボリのマネージャー山田啓玄さん

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Profile
麓幸子
麓 幸子(ふもと・さちこ)
日経BP総研マーケティング戦略研究所長
日経BP社執行役員。1984年筑波大学卒業。同年日経BP入社。88年日経ウーマンの創刊メンバーとなる。2006年日経ウーマン編集長。12年ビズライフ局長。14年日経BPヒット総合研究所長・執行役員。15年日経BP総合研究所副所長。16年日経BPヒット総合研究所長を経て現職。法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。内閣府研究企画委員などを歴任。筑波大学非常勤講師。一男一女の母。著書に『女性活躍の教科書』『就活生の親が今、知っておくべきこと』など多数
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