毎週日曜日の夜10時に楽しみに見ているドラマがあります。そうです。NHKのプレミアムドラマ「定年女子」です。

 主人公の深山麻子は53歳。大手商社のCSR部長としてバリバリ働いていましたが、役職定年によりヒラ社員に降格。30年以上勤めた会社を退職して第二の人生を歩み始めるというドラマです。私は麻子とほぼ同世代。「定年まであと○年」とカウントダウンとなってきましたので、他人事ではありません。麻子がこれから一体どうなるのか興味津々です。

 さて、このスタイルでの連載は今回が最後です。最終回の今回は、あなたの年齢はどうあれ、会社勤めであれば「定年」を見据えて、「ポスト定年」を意識しながら働きましょうというお話をしたいと思います。

あなたは何歳まで働くことを意識していますか? (C) PIXTA
あなたは何歳まで働くことを意識していますか? (C) PIXTA

人生100年時代。74歳まで働くことを前提に考えてみる

 昨年話題になった本の一つに、リンダ・グラットンの「ライフ・シフト――100年時代の人生戦略」(東洋経済新報社)があります。とても興味深い内容で生きる上での示唆がたくさんありました。

 タイトルが示すように、この本の中で、著者は、長寿化が社会に一大革命をもたらし、あらゆることに影響を及ぼすとしています。結果として、個人が最も大きく変わることが求められており、新しい行動に踏み出して、長寿化時代への適応を始める必要があると書かれています。「50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすつもりでいたほうがいい」。日本語版序文には、このようなメッセージがありました。

 あなたの会社の定年は何年ですか。定年が60歳だけど、希望すれば65歳までは今の会社で働けるからその後は悠々自適……というようなイメージを持っていたとしたら、「ライフ・シフト」は、それを打ち砕きます。

 「教育 → 仕事 → 引退」という3ステージの生き方自体が古くなり、2番目の「仕事」のステージが長くなること、長く生きること、働くことを前提に人生全体を設計し直さなければいけないことを、リンダ・グラットンは説きます。

 2025年、団塊の世代が後期高齢者となり、日本の高齢化率は30%を超えるといわれています。世界で類を見ない超高齢国家になるわけです。年金制度など社会保障制度もこれから変わる可能性が高いでしょうから、リンダ・グラットンが指摘するように、「人生100年」を意識して人生設計をする必要があります。

 長く働くことを前提とする場合、具体的に何歳まで働くと想定すればよいのでしょうか。私は、「74歳まで働くことを想定しましょう」とお伝えしたいです。

 74歳とは、女性の「健康寿命」なのです。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活に制限なく生活できる期間」です。つまり一人で普通の暮らしができる期間ということです。女性は、74歳まで健康上何も問題が生じず、日常生活が送れる人が多いので、そのときまで働くということを意識して、今のキャリアを考えませんか、という提案です。74歳まで自分が働くことを前提に、74歳の自分から、今の自分を眺めると、自分のキャリアを考える視点も変わってきませんか。