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いつまで働けばいい? 74歳まで働ける人生の描き方(2/3)

2017年8月22日

いつか訪れる「定年」を意識して、自分のキャリアをつくる

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会社名がなくても働ける自分、価値を提供できる自分でいたい

 「74歳まで働かなくちゃいけないの? リタイアしたら悠々自適がいいのに……」

 そんな声も聞こえてきそうですね。実は私もそんな考えを持たないわけではなかったのですが、あるシニア女性・佳子さん(仮名)と出会って考え方が大きく変わりました。

 佳子さんは、夫と二人で創業した会社を専務として切り盛りしていましたが、夫が亡くなった後会社を売却、それ以降は趣味を楽しんだり娘や孫たちと旅行に行ったりとまさに悠々自適の日々を過ごしていました。でも佳子さんは数年たつとそういう生活に飽きてしまったそうです。

 なぜならば、一つには、緊張感がまるでなかったからです。会社を経営していたときは毎日いろいろなことが起こりました。生活にメリハリがありました。でも、今の生活は緊張感もプレッシャーもストレスもない。何かをやり遂げたという達成感も充実感もない。このような生活を好む人もいるかもしれないけれど、「小さな会社のおかみさん」として生きてきた自分には合わなかった、毎日がメリハリなくのっぺりしたものになったと。

 もう一つは社会に役立っているという実感がないということ。以前は、会社の事業を通じて社会とつながり、また従業員を雇うことで社会に貢献しているなと思えたのですが、それも感じられなくなってしまったと言います。佳子さんは、結局、その後そういう生活をやめて、自分と同じシニア層を対象にした小さなお店を開きました。

 「商品を仕入れてお客様に提供する。在庫も抱えてリスクもありますけど、お客様が商品が届くのを楽しみにしてくれます。私にとって働くことがいかに大切か分かりました」

 佳子さんのケースで浮かび上がってくるのは、働くことが持つさまざまな価値です。単にお金を稼ぐことではない、働くことによって誰かの役に立っているという喜び。自分が少しでも成長しているなという実感。そのような日々の喜びや希望が、働くことにはあり、それはどの年代にとっても大切だということです。

 「74歳まで働く自分を想定しましょう」とお伝えしたとしても、それは現状の仕事や今の働き方を70代までずっと続けるということを意味しません。

 定年まで会社に勤める人、途中で辞めて、自分で事業を起こす人、NPO法人を立ち上げて社会課題の解決を試みる人などさまざまでしょう。「自分はどのように世の中の役に立っていきたいのか」「自分はどんなことをしていきたいか」という問いを自分に立て、そして自分の可能性を信じつつ、その選択肢をできるだけ広く持つようにするのがよいのではないでしょうか。

 会社に勤めている人であれば、いろいろな経験を積んだほうが、あなたの将来のキャリアの選択肢は広がります。その意味でも、この連載の初回で書いたように、異動のオファーがあればどんどん受けたほうがいい、昇進して管理職になれる機会があればもちろんGET! です。ためらう必要はありません。

 「子育てがまだ大変だから……」と断りますか? 子どもはいずれ育ってあなたの元を離れます。夫と育児をシェアしてそういうチャンスをぜひ生かしてほしいと思います。女性は、子育て後の人生のほうがずっと長いのですから。

 会社というフィールドでいろいろな経験をさせてもらいつつ、今の会社を離れても働いていける自分をつくってほしいと思います。会社名を外したときにでも価値を提供できるように準備をしていくことが大事だと思います。ですから、冒頭に年齢はどうであれ「定年」を意識しましょうとお伝えしたのです。

定年に向けて今からどう準備をする? (C) PIXTA

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Profile
麓幸子
麓 幸子(ふもと・さちこ)
日経BP総研マーケティング戦略研究所長
日経BP社執行役員。1984年筑波大学卒業。同年日経BP入社。88年日経ウーマンの創刊メンバーとなる。2006年日経ウーマン編集長。12年ビズライフ局長。14年日経BPヒット総合研究所長・執行役員。15年日経BP総合研究所副所長。16年日経BPヒット総合研究所長を経て現職。法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。内閣府研究企画委員などを歴任。筑波大学非常勤講師。一男一女の母。著書に『女性活躍の教科書』『就活生の親が今、知っておくべきこと』など多数
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