あなたは失敗や逆境が好きですか? ピンチを好ましいと思いますか?

 もちろん、嫌いですよね。そんなことは起こってほしくないですよね。

 でも、成功する女性はちょっと違うんです。

 あるITベンチャーの女性社長は、「順調なときはつまらない。私はピンチが大好きなの」と言っていました。その言葉を聞いたときはびっくりしました。その女性の発言の真意はなんだったのでしょうか。

 今回は、「失敗したときの振る舞い方によって人生が変わってくる」というお話をお伝えしたいと思います。

失敗のたびにどう振る舞うかで人生が変わっていきます (C) PIXTA
失敗のたびにどう振る舞うかで人生が変わっていきます (C) PIXTA

ずっとチャンスに恵まれてラッキーだった人など一人もいない

 日経WOMANでは、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」受賞者など活躍した女性に、「キャリアチャート」を書いていただきます。皆さんも日経WOMAN誌上で見たことがあると思います。このキャリアチャートは、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」の初期よりご協力いただいていた慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任教授の高橋俊介さんに監修していただいたものです。

 キャリアチャートは、横軸が年齢、縦軸がキャリアのハッピー度を表します。ハッピー度は、真ん中が「ゼロ」。一番充実していたときを「+100」、一番落ち込んでいたときを「-100」として、自分のこれまでのキャリアを思い出しながら、アップダウンを書き込んでいきます。

 これまで、たくさんの女性たちにキャリアチャートを書いていただきましたが、それが実に興味深いのです。皆さんはもしかすると、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」受賞者のように、大きな成果を上げた女性たちは「きっと、20代のキャリアの最初の頃からラッキーでチャンスに恵まれて、ずっとチャートは右肩上がりではないか」と思うかもしれませんが、そうではないのです。

 そのキャリアチャートはとてもジグザグしています。ずっと1本調子で右肩上がりという人は一人もいませんでした。初期キャリアである20代に高得点という人も少ない。「+20」くらいのところから始まってずっとそのあたりでとどまっていたり、異動した新しい職場で挫折や苦労をしてマイナスに急降下したりしている。20代は低空飛行の「模索期」だった人という人が多かったです。30代に入ると徐々に右肩上がりになっていきます。しかし、その後も、「ずっと順調」ということはなくて、またピンチが繰り返しやってきます。