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「知の交差点」を多く持つことがビジネスにも有効

2017年3月29日

「どこに赴任してもまずグランドピアノを買った」カルソニックカンセイ野田常務

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女性活躍推進法に基づき、女性の活躍に積極的な企業を厚生労働大臣が認定する「えるぼし」制度。2016年11月に「えるぼし」認定の最高位の3つ星を取得したカルソニックカンセイ。女性がまだ少ない自動車部品メーカーとして快挙となった。世界16カ国77拠点で事業を展開するグローバル企業である同社にとって多様性を推進するのは必須のこと。今回は、グローバル人材の育成について、人事トップの野田昇常務に聞いた。

海外赴任10年、どこに赴任してもまずグランドピアノを買った

――2017年は「働き方改革」がますます重要になると言われています。野田常務は海外勤務の経験が豊富ですが、日本と海外の働き方の違いをどのようにとらえていますか。

野田常務役員(以下、敬称略):日産自動車に勤めていた90年前半に米国で4年、その後、2003年から2009年までの日産ヨーロッパ時代には、パリに4年、スイスに2年ほどいましたから、計10年ほど海外で過ごしています。

 初めて米国に赴任した時は、非常に驚きました。定時の16時半になると、全員がピタッと仕事をやめて帰宅する。当時、新車種を立ち上げるために社員を2000人ほど採用するという極めて忙しい時期なのに、人事のメンバーも定時で帰り、遅くまで残っているのは日本からの出向組だけ。「なんて仕事をしないやつらなんだ」とびっくりしたんですね。

1980年一橋大学社会学部卒業後、日産自動車株式会社入社。人事部企画課、北米日産人事部、ルノーとのアライアンスにおいて初代クロスファンクショナルナルチームメンバーとして日産リバイバルプランの策定に参画。2000年アプライド・マテリアルズ・ジャパン取締役人事部長、2003年Nissan Europe VP HRを経て2009年より現職。グローバルかつ幅広い人事のオペレーションとマネジメントを経験

 しかしその後、現場改善のために1週間程度、午前3時に出社することがありました。そうすると既に多くの社員が出社していました。要は、仕事が多い日は残業するのではなく、早めに出社して仕事をやりきる、退社時間を死守し、プライベートを優先するわけです。日本との違いを大いに感じました。

――残業するのではなく、出勤時間を早めることで、ワークライフバランスを死守しているのですね。ヨーロッパではいかがでしたか。

野田:ダイバーシティの本場はヨーロッパだとは聞いていましたが、実際に行くとそれを実感しました。戦争や宗教問題などで憎しみ合ってきた長い歴史のなかで、企業としてひとつのアイデンティティを持つという難しさと面白さを感じましたね。

――そうした中で、どんなふうにして互いに理解を深め、インクルージョンしていったのでしょうか。

野田:まずは自分の仕事の専門領域では決して引かずに徹底的に戦う、ということですね。ここで自分を見せつけておかないと、何も始まらないと思います。それに加えて、うちの家族は皆、音楽好きなので、文化的なところから交流を深めることが多かったですね。妻はクラシック、私はジャズピアノを弾くのですが、どこに赴任しても、まずはグランドピアノを買って、ホームパーティーで弾いていました。クラシック文化が根付いているヨーロッパでは、皆が妻のピアノに耳を傾け、アメリカでは僕のジャズで盛り上がる。仕事時以外の時でもそうした話で打ち解けることで、ぐっと距離が近づきました。

知の交差点をたくさん持つことで人生も豊かになりビジネスにも有効

――文化的なところから理解を深めていったと。そうしたお付き合いはプライベートのみならず、仕事上でも有効でしたか。

野田:振り返ってみると結果的にそうでしたね。環境やタイプの違う相手でも、同じような関心事を持っていれば、それが共鳴し、人間的な結びつきが生まれやすくなるものです。私自身、ビジネスにおいても、そうしたつながりに助けられたことが多々ありました。

 日産時代、99年にルノーとのアライアンスが決まって、クロスファンクショナルチームの初代メンバーとして「日産リバイバルプラン」の策定に参画しましたが、ルノーから来たエグゼクティブとの出会いも印象的でした。

 初めて彼らと一緒にランチをした時、彼らの一人が、日本の文化についていろいろと話を振ってきたんですね。黒澤明や宮崎駿監督に始まって、さらには谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』にまで話が及び、しかもかなり詳しい。日本側のメンバーは話についていけずに沈黙していたけれど、私は本や映画が大好きなので、すっかり意気投合し、その後もプライベートで付き合いが続きました。

 趣味やセンスで波長があい、今でも非常に仲がいいルノーのエグゼクティブがいますが、私が日産を辞めて、その後、日産ヨーロッパの人事ヘッドだった時代には、仕事上でも大いに助けられました。

――仕事以外の関心事を深めることで、人とつながる場面も増えると。

野田:自分が興味のあることに対し、好奇心をもって知識を深め、“ドット”を増やす。そうすることで、点と点がつながる場面が出てくるものです。故スティーブ・ジョブズも「コネクティングドット」とスピーチで語っていましたが、その時に打ち込んでいることがどう生きてくるかは分からないけれど、後に大きな財産となることがあります。

 実は、スポーツや音楽といった普遍的なものが、僕自身、人事の仕事をやるうえでコアになっている部分があるんです。人事を自分のものとしてやっていこうと思った30代の頃、それまでのドットがコネクトしたと感じることが多々ありました。ある友人には、「お前は“知の交差点”をいくつも持っているな」といわれたことがあります。結果的に、「知の交差点」を持つことで人生が豊かになり、ビジネスにも有効だったということだと思いますね。

――「知の交差点」とはユニークな表現ですね。そうしたドットをたくさん持つことで、人やモノ、コトとつながりやすくなると。昨年12月に行われた『WOMAN EXPO TOKYO 2016 Winter』で、早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄准教授が講演された際に、「知の探索をしていろいろな経験をすれば自分自身の中に様々な知見が組み合わされて、イントラパーソナルダイバーシティが起こる」というお話がありました。まさに、野田さんの「知の交差点」にリンクする内容ですね。

野田:実は、私が大好きなジャズも、ある時、自分の仕事と大きくリンクしたんです。学生時代からジャズをやっていたのですが、会社員になってからは辞めていました。ですが、30歳を過ぎた頃から、私にとってのジャズ体験が、ひょっとしたら人事の世界でも通用する話かもしれないと、ふっと思えた時があった。その瞬間、プライベートと企業人としての自分がつながって、すごくラクになったんですね。

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麓幸子
麓 幸子(ふもと・さちこ)
日経BP総研マーケティング戦略研究所長
日経BP社執行役員。1984年筑波大学卒業。同年日経BP入社。88年日経ウーマンの創刊メンバーとなる。2006年日経ウーマン編集長。12年ビズライフ局長。14年日経BPヒット総合研究所長・執行役員。15年日経BP総合研究所副所長。16年日経BPヒット総合研究所長を経て現職。法政大学大学院経営学研究科修士課程修了。内閣府研究企画委員などを歴任。筑波大学非常勤講師。一男一女の母。著書に『女性活躍の教科書』『就活生の親が今、知っておくべきこと』など多数
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