3. 「働き続けられるか」「働きがいはあるか」の2軸で選ぶ

 就活生の皆さんには、その会社が「心身ともに健康で働き続けられるか」「働きがいがあるのか」という二つの軸で見てほしいと思います。

 実は、日本は女性が出産後も働き続けにくい国です。最初の妊娠・出産後も働き続けている女性は5割程度しかいません。半分は辞めてしまうのです。ですから、「女性が育児をしながら働き続けられるか」というのはとても大切なポイントです。

 女性の平均勤続年数は何年か。どのような両立支援制度があるか。制度があるだけでなくちゃんと運用されているか。育児休業や短時間勤務の取得者数などでチェックしていただきたいと思います。

 男性の育休取得を促進しているかも見ていただきたいポイントです。日本生命保険やみずほフィナンシャルグループのように「男性育休取得100%」を掲げる会社も出てきました。スーパーゼネコンの清水建設では3カ月の育児休業を取得した男性も登場しています。男性の育児参画を勧める会社は、育児で休むことを「ロス」とは見ていません。育児を成長の機会、多様な経験をするよい機会と見ています。そういう企業であれば、女性は育児期でも働き続けやすい環境があると思います。
男性育休は当たり前 新たな時代の到来を実感

3カ月育児休業を取得した清水建設主任の坪田智公さん。同社は最高位のえるぼし三ッ星企業に認定された。女性技術者を倍増するという数値目標を持っていて女性の採用にも熱心だ(撮影:山岸政仁)
3カ月育児休業を取得した清水建設主任の坪田智公さん。同社は最高位のえるぼし三ッ星企業に認定された。女性技術者を倍増するという数値目標を持っていて女性の採用にも熱心だ(撮影:山岸政仁)

両立できるかどうかだけでなく、機会が与えられるかどうかも見る

 そして、もう一つ、ぜひ、働きがいのある会社かどうかも見ていただきたいですね。就活生が、育児と仕事を両立できるかどうかを就活の大きな軸としている模様を、私は、日経電子版で「幻の赤ん坊を抱いて就活する女子学生たち」と書きました。
母たちの「昭和OL」幻想が娘を苦しめる ~続・母と子の就活戦争(5)

 両立できるかどうか、それもとても重要ですが、それだけに注目するのは寂しい。ぜひ、女性が男性と同じように会社を将来担う人材として期待されているか、女性にもきちんと成長できるような機会を与えてくれるか、育成登用されているかを見ていただきたいと思います。

 それを知るには、管理職に占める女性の割合(女性管理職比率)などが手掛かりになります。ちなみに、厚生労働省の調査では、係長級に占める女性の割合は17.0%、課長級に占める女性の割合は9.8%、部長級は6.2%になっています。一つの目安にしてください。

 厚生労働省が2016年に開設した「女性の活躍推進企業データべース」も活用しましょう。

 ここには、企業の女性活躍の状況が一元的に集約されています。男女別の平均勤続年数、月の平均残業時間、年次有給休暇の取得率、管理職に占める女性の割合などが出ています。女性の活躍推進の取組状況が優良な会社には、認定マーク「えるぼし」が付与されています。認定はその度合いに応じて3段階に分かれており、最高位が三ッ星となります。17年1月末現在でえるぼし認定された企業は249社、うち三ッ星企業は169社です。このマークにも注目してみてください。

 また、日経ウーマンでは日経ウーマノミクス・プロジェクトと共同で「企業の女性活用度調査」を実施し、毎年5月に「女性が活躍する会社ベスト100」を発表しています。昨年のランキング(総合ベスト10と4部門のベスト10)はこちらです。
2016年「女性が活躍する会社BEST100」

図 女性活躍の認定マーク「えるぼし」
図 女性活躍の認定マーク「えるぼし」