私たちは卵子を「無駄遣い」している!?

 「毎月排卵があることも問題」だと吉野さんは続けます。

 「というのも、卵子は質のいいものから排出されていってしまうため、妊娠の予定がないのに毎月排卵していること自体、非常にもったいない状態です。出産を考えているなら、排卵や月経は卵巣や子宮に負担をかけているだけなので、お休みさせることも大事です」(吉野さん)

 将来妊娠・出産を考えている人はもちろん、生理の悩みを抱えている人に吉野さんがおすすめするのが、ピルの服用です。ピルというと避妊薬のイメージが強いですが、生理をコントロールする上でも非常に有効で、生理痛や病気の予防にもなり、肌がきれいになる効果もあるのだとか。現在、生理痛の治療薬として保険適用されているピルは5種類あるそうです。

 「まだまだ日本では誤解されている面が多いですが、生理痛を抑えるために鎮痛剤を飲むより、ピルを服用したほうがよほど安心で安全です」(吉野さん)

 ピルに対しても読者からはさまざまな疑問や悩みが挙がっています。

「ピルを試してみたいが、飲み忘れそうで心配」(26歳)

「長年ピルを服用していますが、このまま服用し続けてもかまわないかを知りたい」(38歳)

「将来妊娠する確率の低下を防ぐという目的でピルを服用するのは、効果があるのでしょうか」(33歳)

「飲むのがなんとなく怖い」(32歳)

 妊娠を希望する、しないにかかわらず、婦人病の予防に役立つというピル。次回は「働く女性にこそ向いている」と吉野さんがおすすめするピルについて詳しくお話を聞いていきます。

この人に聞きました
吉野一枝
産婦人科医・臨床心理士
吉野一枝さん
よしの女性診療所院長。高校卒業後、“フリーター”、CM制作会社を経て、32歳で帝京大学医学部入学。著書に「婦人科医が教える 誰にも聞けない生理のお悩み解決法」(彩図社)「40歳からの女性のからだと気持ちの不安をなくす本」(永岡書店)など

文/小泉なつみ 写真/PIXTA